第14話 武器ガチャ

 アキと2人協力プレイをした翌日、同じステージをユージと遊ぶことにした。昨日で初回報酬は取り切ってしまったが、ハウス拡張の素材はまだまだ必要だ。

 アキのときと同じように、パソコンで通話アプリを立ち上げてユージと話しながらゲームを楽しんだ。


 彼とはゲームの話以外にも学校の話とか趣味の話を交わしながら遊んでいる。アキと一緒にやっているときよりも気楽さがあった。今振り返ると、目的はゲームといえども、夜に同級生の女子と通話するのは多少緊張があったようだ。


『シュウ、ロゼッタ引けたって聞いてたけど、武器もSSランクの斧引けたんだね?』


 オレのロゼッタはユージのロゼッタにはまだまだ敵わないまでも、それなりの火力を出せるようになっている。昨日アキに言われた後に、武器の10連ガチャを引いてみると、その1回でSSランクの斧を引き当てることができたのだ。


 見た目は死神の鎌のような武器で、ゲームの設定上ロゼッタが所持している装備である。ノワモワは、キャラクターと武器が別々のガチャとなっており、立ち絵でキャラクターが手にしてる武器は、通称「武器ガチャ」で別途手に入れる必要がある。


 立ち絵のモデルとなっている武器以外も当然使えるのだが、キャラクターが本来所持している武器の性能は、そのキャラクターの能力をより活かせるように効果が設定されている。

 つまり、キャラクターと武器、両方を手に入れることで初めて本来の能力をフルに発揮できるようになると言っても過言ではなかった。


『初回のガチャでロゼッタ引いて、次の武器10連でロゼッタの装備引き当てるなんて運良すぎだよ、僕にもわけてほしいくらいだ』


 ユージは、自分がロゼッタとその所持する武器を引き当てるまでにどれほどのスフィアを消費したかを語ってくれた。その数なんと2600個。キャラクターの10連ガチャを10回、武器の10連ガチャを4回して両方を手に入れたそうだ。


 その話を聞くと、初回がスフィア消費無しなので、武器ガチャのスフィア150個の消費のみで同じものを手に入れたオレがいかに強運だったかが理解できた。何も悪いことをしていないのだが申し訳なくなってくる。


「ユージはノワモワ、リリース当時からプレイしてるんだっけ? 課金もしてるのか?」


『そうだね……。バイト代を結構つぎ込んでるかな? 多い時で月3万くらい?』


 額面を聞いてオレは驚いた。月に3万も課金することがあるなら、これまでの合計は10万どころの話ではなさそうだ。ユージはたしか土日をほとんどをバイトの時間に充てていたと記憶していたが、その給料の大半はノワモワへの課金に消えているのではないだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る