【第九回】 並行世界戦記 赧竜の撃墜王

 今回は、鴉 様の「並行世界戦記 赧竜の撃墜王」をレビューします。


 作品はこちらです↓


 https://kakuyomu.jp/works/1177354054922541055



 それでは、読んでいきましょう! よろしくお願いします!



 ***



 タイトルの「赧竜」は何て読むんだろう……


 タグの「ドラゴン」からも、竜を倒すということが大きな目当てになりそうです。


 ジャンルは異世界ファンタジーですが、舞台は第二次世界大戦中の日本ですね。


 紹介文は簡単なあらすじです。異世界放浪のような感じでしょうか。



 ***



【一話目】第1話 黒の死神


 この作品は第一章から最終章(六章)まであるようですが、第四章がないのには何か理由があるのでしょうか?



 あらすじには「1943年某月某日」と書いてありましたが、本編では「1943年7月の某日」になってますね。少し気になりました笑



 「翳りが見え始めており、米軍の猛攻が始まってきた」は、‟始まる”が連続しているので、どちらかの言葉を変えると良いと思います。



 勝は零戦の名手なんですね。戦争でトップの成績を誇る人ってどんな気持ちで過ごしてるんだろう……



 「~のだが」と「~ていく」が連発しているので、文章にワンパターンな印象を受けます。



 「虹色の雲」が出て来てきてから急展開ですね。「黒の死神」はどこの世界の人間なのか、この先重要になる予感がします。



 「勝の眼に映るのは~」の一文は読点が多く冗長に感じるので、文を二つに分けると良いと思います。



 「黒い髪と黒の瞳からしてみて」とありますが、‟からして”と、‟からみて”が混ざった使い方をされているのか、おかしく感じます。



 「手下らしき人間に牢屋の鍵を開けて」は、‟牢屋の鍵を開けて”が適切だと思います。



 いきなりピンチの勝ですが、この状況をどう脱却するのか注目ですね。



 舞台は日本ではなく、異世界(?)でした。日本に帰るのが目的になりそう……?




【二話目】第2話 初対面


 「屈強な男に連行される形で~」とありますが、‟~のような形で” や ‟~という形で”のような表現は、一般的な日本語ではないため避けた方が良いと思います。回りくどい言い方をしなくても伝わるので、直接的な表現に直すのが無難だと思います。



 「ジュネーブ平和協定」という戦時中を想わせるワードによって、時代背景の再認識が自然とできますね。


 「出鱈目な情報が進んでいた当時の日本では」の‟情報が進む”という表現は言いたいことは分かるのですが、言葉として違和感があるため、他の言葉に置き換えた方がわかりやすい気がします。



 「右頬に切り傷のあるその男の兵士は、勝に早く歩けと促す」は、その直前に『「早く歩け、このチキン野郎」』というセリフがあるので、「早く歩け」が重複しています。この場合なら、「早く歩けと促す」を別の表現に変えた方が良いと思います。



 「勝はこの屈強な兵士に~」の一文ですが、時間の経過があまり感じられず、淡々としたイメージを持ったので、文を二つに区切ることでより丁寧な描写になるのではないでしょうか。



 「勝に特異なものを見る目で見やる」の部分ですが、‟勝特異なものを見る目で見やる”が適切だと思います。また、ここの文は、特異なものを‟見る(ような)目で見る”という意味ですが、‟見る”が連続してムズムズしませんか? 同じような表現はこだわりがない限り、しばらくの間避けるようにすると、ストーリーがスッと読者に入っていきやすくなると私は考えています。



 「生まれて初めて飛行機を見たときと同じような感覚」、良い表現ですね。勝の人物像がなんとなくわかるとともに、読者に共感を促す役目も果たしていると思います。初めて見るあの憧憬しょうけい感、もしくは威圧感ですね。



 「日本や世界中探しても」ですが、「日本」は「世界」に含まれているので、無くても良いかと思います。もし、‟日本”というワードを使うのであれば、‟日本どころか”という風に、「世界中」という言葉を強調する引き立て役としての意味を持たせた言い方をするのがベストではないでしょうか。



 「その屈強な男は勝をジロリと見やる」。また「見やる」が使われていますが、‟見やる”には‟遠くに目を向ける”という意味があります。おそらく、「屈強な男」は勝の近くに立っているので「見やる」という言葉は不適切ではないかと思います。



 「人口の光が勝の目にあたり」は、‟人工”の誤りでしょうか。

 この一文も同じ言葉の繰り返しであったり、長い間、句点がないというところから、だらだらとした文に感じます。


 同じ指摘ばかりになると私のレビューもワンパターンになってしまうので、‟一つの文が長い”ことと‟表現の重複・同じ言葉の多用”については、今回は極力拾わないように心がけます。どうしても見逃せないものがあれば都度言及します。



 勝が迷い込んだのは、どこかの軍隊の基地みたいなところでしょうか。丁寧な自己紹介をしたものの、圧倒的なアウェー感ですね……



 「勝は地図を見て愕然とした、」は読点ではなく句点が適切です。



 『「な!? 協力だと!? そんな、~』のセリフから、感嘆符や疑問符の後に一マス開けるようになっていますね。このセリフ以前のところも統一するべきだと思います。



 勝に協力を仰ぐカヤック。それにしても周りの勝に対する扱いが酷いですね……

 ここまで馬鹿にされると私なら精神的にまいりそうです笑



 「見た所君は魔法は使えるのか?」ですが、「見た所」どうだったのかがわからないので、文章的におかしい気がします。



 エレガーは26歳ぐらいに見えるんですね。かなり限定的ですね笑

 彼は他の人と違って親切そうな雰囲気がありますね。



 「瞬間移動魔法」で飛ばされた部屋にいた女の子の「胸がでかく」という直球の描写に笑ってしまいました。勝の感想でしょうか?笑



 「花京院勝と申し上げます」ですが、自分の名前を言うときに‟申し上げます”を使うのは変だと思います。‟申します”で良いのではないでしょうか。




【三話目】第3話 魔法


 「この国は、競合しあいながらも」とありますが、‟この国”とすると、一つの国のみを指すことになるので、複数を表す言葉に置き換えた方が良いと思います。



 この作品の世界観が見えてきましたね。

 4つの国のなかでも力の弱いムバル国。侵略の危機に陥ったこの国を救世主(?)である勝はどうにかできるのでしょうか……



 「勝は創生論という聞いたことが無い言葉を、頭の中の辞書を開いているのだが」は、文法的におかしいです。「言葉を」の後に文を付け足すか、別の表現に変える必要があります。



 「ふむ、やはり君は異世界から来たのだな~」のセリフの最後に、また「となると……やはり君は異世界から来たんだな」とあるので、どちらか一つだけで良いと思います。



 エレガーも勝が役に立たなそうだと思っていますね笑



 「勝は、また何か一体得体の知れない現象が~」の「一体」はいらないと思います。



 「ジャギーは余りにもの凝視ぶりに」は、‟余りの凝視ぶりに”の方が適切だと思います。


 ジャギーの勝に対する態度が酷いですね……私だったらすでにメンタル崩壊しているところです。



 優しそうだと思っていたエレガーさんも、勝に失望してしまった様子……

 ここまで扱いが酷いと後のざまぁ展開に期待してしまうのですが、この先どうなるのでしょう。



 『「あれは、墜落した後にバラバラになりました、残骸は私達の方で回収をしました、墜落した場所に行ってみますか?」』のセリフですが、終止形を読点でつなぐと会話としておかしく感じます。一つの文にするのであれば、接続助詞を用いることで自然なセリフになります。



 この約2,500文字のエピソードだけで勝が三回、エレガーが二回溜息をついているわけですが、流石に多すぎますね。落胆しているのはわかるのですが、別の言葉に置き換えたりできるのではないでしょうか。




【四話目】第4話 ドラゴン


 「勝は、禿げている人が被っている帽子を取られたかのような、知られてはいけない秘密を知られてしまった、バツの悪い顔をして俯いている」。情けなさが伝わる良い表現ですね。


 勝ってどこにいても酷い扱いを受けるんですね……かわいそうと思いつつ、面白がっている私もいます笑



 「女性に免疫がない勝は極度の緊張で立たずに」は、‟勃たずに”が適切でしょうか……



 勝が性について馬鹿にされる話から一転して、シリアスな雰囲気になりましたね。賢者タイムというやつでしょうか。(たぶん違う)



 「勝の同期の兵士は~」からの一文がとても長いですね。一つの文に情報量が多すぎて、整理するのが大変です。読者に伝わりやすくするためにも、文を分けるべきだと思います。



 真面目にものごとを考えているのに、その見た目は「褌一丁で愚息がそそり立っている」という……何ともいえない悲しさを覚えます笑



 ジャギー、いいキャラしてますね。ただの罵倒だけでなくツッコミも任せられそうで便利な立ち位置です。


 怒涛のコメディ展開ですね。会話劇のテンポが心地いいです。


 なんとなく勝が馬鹿にされやすい理由がわかった気がする笑



 「(なんて暖かいんだ、あの人の手の様だ……)」という勝の心のセリフで、大切な人との思い出かな、つらい過去とか……? と思ったのですが、「出征前に出会った遊女」かよ!!

 思わず手で画面にツッコミを入れたくなりました。勝の性格というか、考えていることが面白いですね。



 「~翼による飛翔となる」ですが、‟となる”にはいろいろな意味がありますが、ここで用いるのは不適切だと思います。「となる」を別の言葉に変えた方が良いでしょう。



 勝が零戦からドラゴンへ乗り換える展開が予想されますね。この作品のキーポイントともいえそうです。



 前半はここまでです。ありがとうございました!

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