ニルリティ/高木 瀾(らん) (4)
「基本的に『護国軍鬼』や『
私は、そう説明しながら、2つの動画をモニタに表示する。
「何だ、こりゃ?」
「ただし……『護国軍鬼』や『
画面に表示されているのは、昨日、私の「護国軍鬼」と
可視光によるグレースケール動画に、赤外線撮影した情報を色として重ね合わせている。
良く有る、温度が低い箇所は寒色系の色に、温度が高い箇所は暖色系の色に、ってヤツだ。
「おい……あの狼男より『鬼』の方が体温が低いのか?」
「俗に言う『擬似ゾンビ』……人間に悪霊だか魔物だかが取り憑いて操ってるが、まだ、体の方は生きてる場合じゃなくて、完全な死体を、その手のモノが操ってる場合って、体温は、どうなる?」
「ごめん……そこまで気にした事が有る『魔法使い』系の奴は、そうそう居ねえと思う。あたし含めて」
昨日の『鬼』の体温は……気温よりは高く、人間の体温よりは低い……しかも、この温度……。
「どうなってんだ? 一体?」
「仮説1。この『鬼』は、多分、死体。でも、何かの熱源が体内に有る。科学で説明出来るモノか、魔法的な現象とか心霊現象とかかは別として。仮説2。この『鬼』は死体になり立てホヤホヤ。なので、まだ、生きてた頃の体温が残ってる。仮説3。この『鬼』は生きてはいるが、人とは異なる生物と化している。人間より低い体温でも生きてけるような……」
多分、仮説1が可能性として最も高い……。その場合の熱源は……。
丁度、良かった……。
もし、私が今思い付いた推測が正しいなら……「その事」に気付いてくれそうな奴が、昨日の現場に居た。
私が、その2人に連絡をしている内に、動画は進み……。
「えっ?」
水虎たちが現われた時点で、動画を停止させる。
「どうした?」
「画面の隅に写ってる……機動隊員と動画配信者を見ろ」
「おい、こいつら……死んだのか?」
「判らん……警察が生きてると判断したか……それとも死んだと判断したか……どっちだ?」
動画を巻き戻す……そして……。
「マズい……私達が動画配信者が擬似ゾンビ化してたのを発見した時点で、体温の低下が始まってる。あの時点で、擬似ゾンビじゃなくて本物の死体になり始めてたようだ」
「あ〜……こんな御時世でも吸血鬼の実在は確認されてなかったよな?」
「流石に作り話でも聞いた事ないぞ……昼間でも出歩ける位ならともかく……触れてもいない相手まで同類に変える事が出来る吸血鬼なんて……」
あと……もう1つ、やるべき事が有る。
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