アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (5)

「ったく……何考えてやがる」

『いつもの事』

 あたしのボヤきに後方支援チームからツッコミが入る。

 あたしは、ここで売ってたブツらしきパケ入りの粉を見付け出し、腰のポーチに入れ、階段の方に向かう。

「って、何だ、こりゃ?」

『どうしたの?』

「変だ、道路の方から嫌な感じの『気』が……」

『魔法系か心霊系らしい事が起きてるけど……その手のモノはカメラに撮影うつんないんで……』

「判ってる事だけ教えて……」

 と言った頃には、既に雑居ビルを出ていて……。

「あ……大体判った……」

 そこには……。

 何故か、機動隊を襲ってる……県警にコネが有る動画配信者達。

 機動隊は大したダメージは受けてないようだけど……予想もしてなかった背後からの攻撃な上に……何が起きてんのかも、まだ、把握してないらしく、苦戦中。

 下には、対異能力犯罪広域警察レコンキスタのレンジャー隊も居たが……一般人が突然「擬似ゾンビ」化して、警官を襲ってる事態に、どう対応したらいいか判んないようだ。

「おい、こいつらに鎮静剤は効くのか?」

 一足先に、外に出てた相棒から質問が飛んでくる。

「待て……」

 そう言って、私は、擬似ソンビ化した動画配信者の1人を「気」で探……。

 何だ、こりゃ?

 並の悪霊や魔物に取り憑かれてるだけじゃない。

「悪いお報せと、もっと悪いお報せだ。こいつらを助ける方法は……多分ねえ」

「もっと悪いお報せは?」

「こいつらの体そのものが……剣呑ヤバい異界への『門』になってる」

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