ニルリティ/高木 瀾(らん) (4)

『早く下に行ってッ‼ 警官隊が……』

「何が起きてる?」

『それが、何て説明すればいいか』

 霊体や魔物なんかの物理的実体が無いモノはカメラには写らない。

 どうやら、魔法か心霊に関する現象らしいが……。

 対異能力犯罪広域警察レコンキスタのレンジャー隊は……既に部屋に居ない。

「ここで売られてた違法薬物クスリのサンプルを持って帰って来いッ‼」

 私は、相棒に指示。

「へっ?」

 そして……狼男の両肩を掴み……「鎧」の背面の排出口から余剰エネルギーを噴出させながら、背中に蹴りを入れる。

 いわば変形巴投げだ。

 私を壁に叩き付けるつもりだった狼男は、自分が壁に叩き付けられたが……もちろん、大したダメージは無い。

「てめ……」

 狼男が、床に手を付こうとした所で、床スレスレの回し蹴り。

 脛のブレードが狼男の手首に命中するが、無理のある体勢と、狼男の「毛皮」のせいで、あっさり防がれる。

 しかし、私の攻撃で、狼男も体勢を崩す。

 そのまま、狼男に組み付き……。

「余剰エネルギー放出。背面、脛後部。出力最大」

 強化装甲服の制御AIに指示を出し……。

「えっ?」

「おいっ?」

 私と狼男は、そのまま、部屋の窓側から外に出た。

「て……てめえ……何、考えてやがるッ?」

「せいぜい、巧く着地してくれ」

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