ニルリティ/高木 瀾(らん) (5)

「県警の機動隊の防具に私が使ってる散弾銃用のスラッグ弾をブチ込んだら、どうなる?」

『えっ?』

 私は、後方支援チームに問い合わせる。

「だから、防具越しに命中あてたら、死ぬ確率と助かる確率は、どっちが高い?」

『ええっと……骨や内臓にダメージはいく可能性は有るけど、貫通はしない』

理解したConfirm

「おい、何する気だッ?」

「お前、何、考えてる?」

 相棒と……そして、副指揮官ブルーパワー型イエローのハイブリッド型のレンジャー隊用の強化服から突っ込みが入る。

「救急車と病院の手配を頼む」

 まずは……対悪霊・魔物系向けの霊力を込めた非致死性弾を散弾銃に込め、擬似ゾンビ化した動画配信者をオンブしてる機動隊員の胸を狙ってブッパナつ。

「がぁぁぁぁッ‼」

「うがあああッ‼」

「おい、どうなってる? 何で……非致死性弾を防具越しの食らっただけの機動隊員まで苦しんでる?」

「機動隊員も、背中の擬似ゾンビが出してる『邪気』に汚染されてる。多分だけど、もう、その機動隊員も擬似ゾンビ化しかけてるみてぇ〜だ」

「待て、機動隊員は対魔法・心霊系の装備で、ここに来たんじゃないのか?」

「県警に連絡が入った時点では……えっと……『敵』は居たとしても変身能力者なんかの物理系だと思……われてた」

 レンジャー隊の指揮官レッドが、そう解説してくれる。

「おい、霊力込めてる弾は、あと、いくつだ?」

「非致死性弾5つ、スラッグ弾2つ、簡易焼夷弾ドラゴン・ブレスが2つ」

「ちょっと足りねえな……って、最後のは何の為のだ?」

「文字通りの『最後の手段』用のヤツだ。で、効いてるのか?」

 私は、そう言いながら、2発目の弾を発射。

「一時的に動きを封じる程度なら……一応」

 相棒の元にATV四輪バギーが遠隔操作でやって来る。

 相棒は、ATV四輪バギーの荷台の「魔法の焦点具」……早い話がヨーロッパ系の「魔法」で言うなら「魔法使いの杖」だ……を兼ねた大型ハンマーを取り出す。

 ゴオッ……。

 その時、風切り音と血煙と共に、機動隊員の1人と、その背中にしがみ付いてた動画配信者の頭が消えた。

「お……おい……」

手前てめえらのやり方は、まだるっこしい。これが一番手っ取り早いだろうが。おい、レンジャー隊ども、面倒だから感謝状は要らねえぞ」

 私と共に、地上まで落下した久米銀河の手の爪が機動隊員と動画配信者の頭を一瞬にして砕いて……。

「マズいぞ……その狼男を止めろ‼」

 続いて、相棒の絶叫……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る