作者の独特の雰囲気が好き。紗がかかったような空間と様々な断片。あと稟市さんが大好きです。あっけないぽんと放り出さされたような読了感だけど幕切れってこういうのだよなって気がする。そういうのが嫌いじゃない。一読の感想だから、感想だけど、「感」はあっても「想」はまだ追っついてきてないかな。再読がしたい。ゆっくり。そういう作品。
大塚さんの文体が好きなんだな、と思う。ガシッ!と踏み込んだとする。砂利の上だったりすると、体重が掛かって石同士がぶつかりあった音がして。踏み込んだ人物が目の前の相手から目を離していない。一連の動きが映画のように迫ってくる。登場人物の、その時の息遣いが耳元で聞こえるような気がする。いや、この話にこんなシーンはないんだけど(笑)読んでいる人をその「人物」に引っ張っていく大塚さんのホラーです。『事件』を登場人物と同化して体験出来・・・・いや、コワイから。