第8話 いざ、侯爵邸へ
シンデレラからの手紙を読んだロバートは、ぶつぶつと文句を言いながら独り言を言った。『私にこれをどうしろと…。公爵とは、親戚でも婚姻など止めれるはずがない…。』
「ブツブツと何を言っている。とにかく、お前の姪を連れてくる。しばらく滞在できるように準備しておけよ。していなかったらどうなるか…?分るよな。」
「…チッ。分った。言う通りにする。」
その後、魔王は、すぐにシンデレラのもとに戻ってきた。
「手紙を渡して、話をつけてきた。準備しろ。それから、あっちで魔法の使い方も教える。あちらのほうがコントロールしやすいからな。この国は、魔法石の影響が大きい。コントロールを身に着ければ、あんな…ちんけな魔法にもならん。」
「悪かったわね。ちんけな魔法で…。とにかく教えてもらおうじゃない!その素晴らしそうな魔法とやらを!!」
魔王の言い草にむかついた私は、思わず魔王に食って掛かってしまったが、この言葉を、後々後悔するのは言うまでもなかった。魔王とこんなやり取りをしていると部屋をノックする音がした。『コンコンコン。』カーラだった。
「シンデレラ…ねえ。本当に行くつもりなの?」
カーラが心配そうに私の顔を覗き込んで聞く。そこへ義母とダニエルもやってきて、かぶせるように義母が同じことを言ったがダニエルだけは、違った。
「奥様、私が付いてまいります。ウェンディ様のお墓参りも兼ねれますし…。シンデレラお嬢様をお守りいたします。この、ダニエル、あちらに行けば少しは顔が効きますからね。」
「そうね…。こちらの新しい使用人も決まったことだし。丁度、明日から揃うわね。でも、早く連れて戻って頂戴ね。」
「畏まりました。大丈夫でございますよ。では、お嬢様、明日、使用人たちに指示を出した後、出発ということでよろしいでしょうか?」
「ええ。ダニエル。あなたがいてくれるなら心強いわ。お母さま…。少しの間ダニエルを借りていくわね。」
こうして、私は、レリアン公国にダニエルと魔王と行くことになった。義母がカーラとともに部屋を出た後、ダニエルと出発の相談をしていたら、先ほどまで姿を消していたがまた、姿を見せた。
「どうやって、行くの馬車とかじゃないんでしょ?魔王が一緒なら。」
「我は、そんな、まどろこしい物には乗らん。ゲートを開けてある。だが、お前やそこの執事の荷物があるからな。馬車が通れるくらいのゲートだ。とりあえず、他の目もあるからな。明日の朝、馬車でレリアンに向けて東の森へ向かえ。」
「承知いたしました。魔王様。ありがとうございます。普通に行けばかなりの日数でしたので、助かります。」
「そうなの?ダニエル。」
「はい。お嬢様。早くても2週間は必要です。山越えですからね。」
「あ…そうね。だから、この国は、今まで他国から攻められていなんですものね。あの、山のおかげで…。」
「そうでございます。国境であるあの山は、簡単に攻略できませんでしたからね。これまでは…。とりあえず、あちらについたら、スクロールを作ることから覚えましょう。」
「スクロール?」
「はい。使い捨て魔法の巻物でございますよ。それで、移動の巻物を作りましょう。この国では、魔法石の影響を受けやすいので、使う人がほとんどいませんからね。学校でも敢えて、作り方を教えていないのでしょう。」
「う~ん。作ったことがないわ。あ~。なんだか、違う意味でも楽しみになってきた。明日が、楽しみだわ。」
「はい。それでは、明日のために、早めにお休みください。」
私は、ダニエルにお休みを告げてから、ベッドに入ったがなかなか寝付けなかった。
シンデレラは魔女でした 華楓月涼 @Tamaya78
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