第7話 魔王と侯爵
翌日、ヘーデルとお母さまは、王宮へと向かい、私は、ダニエルにレリアン公国のアリシアお母さまの実家に手紙を書いてもらっていた
「ねえ。ダニエル、手紙が届くまで何日かかるかしら?」
「そうですね。魔法陣で送ればすぐですが、普通にですと1週間はみませんと。」
「そんなに?」
「はい。メゼス山を越えねばなりませんからね。」
「公国からの公女の輿入れも一か月かけて、行われるのもその為です。魔法でも来られるのでしょうが、正式な輿入れで来られるため、普通に山越えなさるそうです。」
「手紙を送る魔法陣はしたこと無いんだけど簡単かしら?」
「シンデレラお嬢様ですと、すぐにでも習得できますよ。」
その会話を聞いていた魔王がまた、急に現れて口を出してきた。
「何?いつも、急に出たり消えたり!!」
「なんだと助けてやろうと思ったんだがな…。止めようかな。」
「えーっ、助けようと思って出てきたんでしょ?じゃあ、助けてよ~ま、お、う、さ、ま~!!」
「まあ、仕方ない。我が行って来てやろうではないか。ウェンディの家にな。」
「って、ウェンディって誰?」
「お嬢様のお祖母様ですよ。」
ダニエルが答えている途中で、魔王は、ダニエルの書いた手紙を掴んで風のように消えて行った。
一方、王宮では、ヘーデルは、案の定…、王子様からの求愛を受けていた。義母は義母で、王様から正妃としては受け入れられないと念押しをされていた。義母は、王様の意に反論することもできず、ヘーデルにもあきらめろとも言えず苦しい気持ちでヘーデルを王宮に置いて屋敷に戻ることになった。そして、消えた魔王は、ちゃんとアリシアの実家の侯爵邸に現れていた。
「よう。ちんちくりん。」
「何者だ!!私にそのような尊大な態度をとるとは?ここは、侯爵邸で、私は侯爵その人だぞ!!!。」
「ちんちくりんに、ちんちくりんと言って何が悪い。」
むむ。護衛!!誰が、こんなやつを屋敷内にいれた!!早くつまみ出せ!!」
「はあ。相変わらず人頼みだな。ロバート。大体、我を忘れていること自体気に食わんがな。」
「な、な、なんだと?お前など知らん。」
「そうか…。ならば、思い出させてやろう。」
魔王が手を上げると侯爵は、突然、部屋から移動して庭の木に吊るされてしまった。
「降ろせ。何をする!!」
「思い出したか?」
樹に吊られた侯爵は、小さかった頃の事をふと思い出した。姉のアリシアに意地悪ばかりしていた時、ついに姉を怒らせて、魔王を使って、木に吊られた時の事だ。
「思い出したぞ。お前は、姉の契約魔王…フェリペ。」
「やっと思い出したか?久しぶりだな。ロバート。お前、アリシアから家督を譲ってもらったのに、アリシアにわたる財産を奪っただろう?」
「な、な、何をそんな。奪ってなど居ない。預かっているだけだ。」
「それを奪ったというんだ。まあ、良い。これからお前の姪を連れてくる。これがその手紙だ。」
そう言って、魔王は、樹に吊られたままの侯爵に手紙を見せた。
「分かった。分かったから。とにかく樹から降ろしてくれ。」
「良かろう。」
樹から降ろされた侯爵は、ダニエルの書いたシンデレラの手紙を読むことになった。
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