第16話 下校⑧【冬】
「昼間は天気良かったし、残ってた雪も氷も溶けちゃったね。───じゃ、行こっか」
「とは言っても、さすがに外を歩くには寒いね。あっ、自動販売機があるし、一緒にコンポタージュ飲もうよ! ⋯⋯え? キミはおしるこなの?」
「まあ、売っているのなら買う人がいるってことだからね⋯⋯。ただ買う人ってどんな人なのかなとは思うけど」
「おしるこって飲み物なのかな? って論争あるけどキミはどう思う? って、それこそ普通に今飲んでるキミに聞くことじゃないか〜」
「コンポタージュも大概だろって言われてもね〜、冬にしか飲みたいと思わないんだもん。それにコーンが入ってるからお腹も膨れるから夜に食べ過ぎないし、ダイエット効果もある⋯⋯気がするんだよね」
「あははっ。キミ、口の周りにおしるこついてるよ? あはは⋯⋯、取れてないしひどい事になってる。しょうがないな〜、ほら、じっとしてて」
「───どういたしまして。⋯⋯なんか凄いね、ハンカチについたおしるこの匂いだけでも胸焼けしそうなんだけど。それ甘すぎない?」
「んー、キミがそこまで言うなら⋯⋯。はい、代わりに私のコーンポタージュも一口どうぞ」
「〜〜〜っ! あまっ! やっぱりコレは甘すぎだって! さすがにこの甘さを平気で飲んでると心配になるよ」
「甘さを感じないって、そりゃアレの後なら何を飲んでも感じないでしょうよ。味覚バカになっても知らないからね?」
「そういえばさ、可愛い彼女と間接キスなわけだけどキミは何も感じないのかな〜? ねぇねぇ、どうなのかな〜?」
「あ、⋯⋯ここでソレを渡してくれるんだ。遅いぞ〜、もうっ」
「キミが手紙をカバンに入れてるのは知ってたからね。本当にいつ渡してくれるのかって待ってたのに、そんな素ぶりもないんだもん」
「え、だってキミ、最近ずっとカバンをチラチラと見てるし、なんだったら私を待ってる時に手に持って見てるよね? すぐに仕舞ってるけどバレバレだよ?」
「意地が悪いんじゃないって、まあ、たしかにそうじゃなかったら朝にキミにあんなこと言わないけどさ。けど、ずっと待ってた私の気持ちも考えてほしいな」
「そりゃ半年も待たされたらねー。ゲームセンターの罰ゲームとか普通ならいつの話? って感じだよ。どれどれ⋯⋯」
「はぁ⋯⋯、私は早く見たいけどキミがそう言うなら家に帰ってから見るよ」
「で、そんなこの場で見せたくない内容は何なのかな〜?」
「私への気持ちと将来のこと? ⋯⋯また、思い切った内容だね。ま、この話は手紙を読んでからまた明日しようね」
「家に着いちゃった。あ、忘れずに手紙を書いてくれてありがとう」
「ほんとだよ。っていいたいけど、キミは約束を守ってくれたんだからお礼だけ受け取ればいいよ」
「あ、キミ。また今夜も冷え込むから暖かくして寝るんだぞ。それじゃ、またね」
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