第15話 登校⑧【冬】

「うーさむさむっ。今日は一段と冷えるね〜」


「ふふっ、そりゃキミと直に手を繋ぎたいよ? けどさ、手袋を脱いでまでするものじゃないよね」


「残念そうな顔をしないのっ! ほら、これで我慢しなさい。⋯⋯手袋ごしだけど思ったより暖かいね」


「あっ、氷張ってるからそこちゅう───あ、ありがとう。⋯⋯うん、影は暗くて分かりづらいけどブラックアイスバーンになってたみたい」


「けど、キミが支えてくれたから倒れずに済んだよ〜」


「ね、そういえばさ近くにスケートってできる場所ないかな?」


「今のは確かに怖かったけどさ、冬だなって思ってさ。それらしいことしたくない?」


「あはは、私が言わせたみたいじゃん。キミがしたくないならしなくてもいいんだよ。無理強いはしたくないし。けどさ、キミは私がしたいって言えば付き合ってくれるんだよね」


「あー、寒くて学校に行きたくない〜」


「じゃあなんでスカート上げて生足出してるかって? だってその方が可愛いでしょ。キミは実用性重視だからわかんないと思うけど年頃の女の子ってのは本来そういうものなんだよ」


「そういえばさ、もうすぐ今年も終わっちゃうね? いやー、私は何も言ってないよ? ふふっ、キミは何を慌てているのかな〜?」


「そうだっ! 初詣は定番の御神籤で勝負だよ? って、言いたいところなんだけど元旦は実はバイトが入ってるんだよね」


「ふふっ、キミのご想像にお任せしまーす」


「あ、電柱あったんだ、ありがとう。⋯⋯またキミに助けられたね。足元に気を付けながら歩いてるとさ、前見てるはずなのに見えてないことあるよね」


「そうそう、灯台下暗しの反対のヤツ───ってどんなやねんっ! あははっ!」


「登下校を一緒にする私たちの未来の関係ってどうなってるかな? わからないけどさ、今を歩くのに私は必死だよ」


「あ、もう学校だね。気を張りすぎて疲れたよ〜。それじゃ、帰りは期待しておくね。私は不安に思ってるから早くあの紙、キミから欲しいな」

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