第12話 下校⑥【夏】

「はぁ〜、やっとこ夏休みー!」


「って、キミ〜。もっとテンション上げていこうよ〜。ほら、一緒に」


「やっとこ夏休みーっ!!!」


「あははっ! それじゃ、帰ろっか」


「───やっぱりさ、みんな楽しみいっぱいで楽しそうだよねー。ほら、見て。あの子なんてスキップしちゃってるよ。楽しみな予定が詰まってるんだろうね」


「そうだっ! キミ〜、スキップって今でも出来る? 出来ないでしょ〜」


「えっ! 出来るの!? うっそだー。ちょっとやって見せてよ」


「⋯⋯っく、まさか本当に出来るとは思わなかったよ。って、後で恥ずかしがるならムキになってやらなきゃいいのに〜」


「⋯⋯はぁ、もー、しょうがないなぁ。───私もやるから、ちゃんと見てるんだぞ?」


「っとっと。どうだった?」


「〜〜〜っ! 見惚れたって、スキップのことだよね!? あはは、ありがと。恥ずかしかったけどやった甲斐があったよ」


「浴衣楽しみにしてるって? この流れでそんなこと言うかな? まったく。キミってやつは〜」


「え? あっ、あー。夏祭りね。夏祭りのポスター、隣町でなのにこんなところにもあるんだ。 今年も花火が上がるんだね」


「そういえば、さっきのスキップって私の勝ちだよね? だってキミ、見惚れるくらい綺麗だって思ってくれたんでしょ?」


「罰ゲームはリンゴ飴って⋯⋯、キミが自分から指名してくるなんて珍しいね。いいけどどうしたの?」


「私が食べてる姿が見たいって⋯⋯。はいはい、わかりました。美味しく食べてあげるから───目を逸らしちゃヤだよ」


「⋯⋯そうそう、夏祭りといえばさ、やっぱり射的にだるま落とし、金魚すくい、それにサメ釣りとか色々な出店が出るよね?」


「ね、──────こら〜! キミ、それは私のセリフだぞ〜」


「あははっ! いいよ。夏休みは楽しまなきゃだもんね。⋯⋯その勝負、受けて立とうじゃない」


「もう家に着いちゃうね。───夏休みってさ、こうやって二人で毎日のように登下校する事がないから寂しいよね」


「⋯⋯うん、ありがとう。大丈夫だよ。───よしっ! まずは週末の夏祭りだね! 楽しみにしててね、───浴衣の私」


「当日のお昼には必ず連絡してね。もしも体調や都合が悪かったら私は大丈夫だから、キミは自分の事を優先すること。絶対に守ってね? キミとの思い出も大事だけどキミ自身が一番大切なんだから⋯⋯。それじゃキミ、またねっ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る