第10話 下校⑤

「ふふっ、今日はキミも早いね。大好きなゲームの勝負だからかな? ───それとも私とゲームできるのを楽しみにしてくれていたのかな?」


「あーっ! はぐらかしてズルい〜。⋯⋯もうっ、それじゃあ行こうか」


「ゲームセンターなんて久しぶりだねー。───えっ、キミもなんだ。そっか、確かにゲームって最近はみんなスマートフォンで、だもんね」


「ふふっ、なら私の方が有利かな〜? なんでって、それは秘密っ。───にっしっし〜、すぐにわかるよっ」


「んーっ! このいい感じの騒音、これぞゲームセンターって感じだよね〜、っじゃ、さっそくエアーホッケーからやろっか」


「それじゃ、私からいくねー、うりゃっ! おっ! キミ、やるね〜。っよ、私も通さないよー。これなら、⋯⋯どうだっ!」


「ちょっと! 抑えて止めないでよ〜⋯⋯、くー、悔しいっ! ───ちょ、ちょっと待って、早い早いっ! うわーっ!」


「あーっ、負けた負けたっ! けど、楽しかったね〜」


「罰ゲームどうしようかなって? キミ、私はゲームが始まる前に何も言ってないんだよ。だから、ルールを決める権利は私にありますっ! ⋯⋯というわけで、今日は 5つのゲームでのマッチ方式、 3ポイント先取で勝利としますっ」


「あははっ! なんとでも言うといいよ。とりあえずはキミの勝ちだね。けど、勝負はここからだよ?」


「ねっ、次はあの太鼓のやつやろうよ」


「難易度は難しいでいいかな? ───普通じゃなくて大丈夫かって? 下手に難易度を下げるとね、リズムに乗れなくて譜面を見て叩くことになりがちで、難易度が逆に上がることがあるんだよ」


「やたらと詳しいって、それは⋯⋯。とにかく、お先にどうぞ。まずはキミが選曲していいよ」


「うん、キミらしい曲だね。私もこの曲好きだよ。───ごめんね、私って手を抜けないから⋯⋯、先に謝っておくよ。キミ、気付いたみたいだね。そうこれはマイバチだよ」


「家庭用のソフトで鍛えた私の腕前、キミは勝てるかな? そう言えば罰ゲーム決めてなかったね。───相手への想いを手紙にして渡す。期限は今年が終わるまでで───」


──────


「やったーっ! 今日の勝負は私の勝ちだねっ!」


「ほらほら、私たちの勝負に二言はなしでしょ? 期限はまだあるんだから───、ちゃんと私への想いを伝えてね」


「んーっ! いっぱい遊んで私は楽しかったよ♪ キミはどうだった? ───そっか、それなら良かった〜。またそのうち来ようね」


「それじゃ、またっ!」

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