第9話 登校⑤

「おはよー。───お、キミも衣替えしたんだね」


「冬服もいかにも制服です、って感じでいいけどさ、夏服も爽やかでいいよね〜」


「あはは、ありがと。キミのそういう素直な反応好きだよ。うんっ、キミも似合ってるよ」


「⋯⋯それにしても暑すぎだよねー〜。湿度が高いしサウナみたいだよー」


「よいしょっと。ん? 鞄の中を漁ってどうしたの? って、えいっ! こうやって下敷きを使って扇ぐとか子どもっぽいけど気持ちいいよね!」


「ね、キミも私を扇いでよ。───わっ! ちょっとちょっとっ! 髪がーっ、もうっ!───あははっ! 楽しいねー、やっぱりキミとはこういう関係がいいなっ! 」


「そう言えばさ、今日って持ち物検査の日だけどキミは大丈夫?⋯⋯はぁ、やっぱり忘れてたかー」


「うん、さすがにそのゲーム機はアウトだよ。たまに思うんだけどさ、キミ、それ持ち歩くの重くないの?」


「⋯⋯まあいいや、とりあえず借りてもいいかな? ⋯⋯ちゃんと返すって。私は信じられるよね?」


「よろしい。って、キミ〜、どこ見てるのかな? もうっ、そんなところにキミの持ち物を隠すわけないでしょ。───んっしょっと、お弁当箱出して朝ごはん食べてこなかったのかって? ⋯⋯ほら、中身は空だよ?」


「我慢できずにもう食べ終わったのかって、⋯⋯キミ、わざと言ってるでしょ。そんなこと言ってると助けてあげないよ?」


「───それを入れてっと、はい。どこから見てもお弁当です♪ はい、愛妻弁当だよっ!⋯⋯なんてね」


「ふふっ、キミのことはよく知ってるっていつも言ってるよね。感謝しなさい」


「え? お礼に帰りは一緒にゲームセンターに行こうって、キミ、わかってるね〜っ」


「よしっ! エアーホッケーに太鼓叩くやつに、レースのやつ、⋯⋯あっ!クレーンゲームも外せないよね? 下校が楽しみだよー、負けないからねっ!」

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