第3話 登校②

「おはよー。あれ、なんか嬉しそうだね?キミが嬉しそうだと私も朝からなんだか嬉しいよ。ちなみに、いい事でもあったのかな?」


「待って!言わなくても大丈夫。キミの事なら私はキミの家族の次に詳しいんだから!」


「え?そこは私が一番って言わないのかって?⋯⋯そんなの当たり前だよ。キミ、家族に大切にされてる自覚をもっと持とうね?私も───いつかキミの家族になりたいんだから」


「ちなみに嬉しい事って、いつも私と登校できることの尊さにようやく気付いたとか?」


「ごめん!冗談だから答えようとしないで。えっと〜、わかった!ベタだけど新作のゲームの発売日だからでしょ?たしか可愛いモンスター?を育てるやつ、あれの新作が出るってCMやってたし、今日発売じゃなかったっけ?」


「え、当たり?やったー!キミに昔に別バージョンやらされたなー。アレってまだシリーズ続いてるなんて凄いよね」


「だよね〜。私たちが子どもの頃に遊んだゲームを今の子たちも夢中になって遊んでいるんだね」


「ちょっと、なんで少し不機嫌になってるの?え、あっ!ごめん、キミが子どもっぽいとかそんなつもりで言ってないよ?」


「もう、拗ねないの。そんな風にする方が子どもっぽいよ?」


「はいはい。もー、しょうがないな〜。本当は今日の帰りに見せたかったんだけど⋯⋯。じゃーん!実は私も買ってしまいました!」


「あはは、意外だった?良かった〜、サプライズで驚いてくれて。けどね、私の好きだったモンスターがCMに出ててね、それが凄く可愛くて、久しぶりに会いたくなったんだよ」


「ねえ、それよりも当てた私にご褒美は?───やったー!あそこの鯛焼き、凄く美味しいよね。高いけど」


「お金の心配はいらない、嬉しかったからって、キミ、もっと顔に出そうよ。まあ、私くらいかな?キミの表情の変化に気付けるのは」


「あ、もうすぐ学校に着くね。───キミは嬉しそうにしてる顔の方が素敵だよ」


「そうだ。キミ、今度、勝負しようよ!私と私の子たちは負けないからね?⋯⋯途中で飽きて辞めちゃってたら寂しいし、重いおも〜い罰ゲームを考えておくからちゃんとやるんだぞ?」


「うん!楽しみにしてるね。あ、けど勉強は疎かにしないこと。キミなら大丈夫だと思うけどね」


「え?私の方が心配?あははは⋯⋯、流石にキミは私のことわかってるね。───その時はキミが私を育ててね?」


「⋯⋯"頑張れ"って連れないなー。けど、キミのことだから助けてくれるって信じてるよ。まあ、嫌われたくないからそうならないように、全力で頑張ります!」

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