第6話 脳汁が……。

「これ多分、俺も、攻撃に加わってる判定ってこと?」


 俺の攻撃がシルスラを加速させる。

 そのままシルスラがノーマルスライムたちを撃破、撃破撃破。


 ものの約5秒でノーマルスライムが1ないしは2匹ずつ消えていく。


 自分で殴るよりもシルスラの体当たりの威力、それに速さも上回っているから普通の狩りとは比べ物にならないくらい効率がいい。


 あっという間に、俺たちの周りはスライムがドロップした魔力結晶でいっぱいになってるし。


 シルスラ逃げないし。


 流石にこれは効率廚も指示廚もにっこりだろ。


「俺も楽しくなって、きたっ!」


『レベルが4に上がりました。レベル5でスキル入手職業選択が可能になります。レベルアップボーナスとして耐久値が回復しました。耐久値9999/9999』


「ひょおおおおっ! 経験値旨すぎるだろ!」


―――――

■チャット↓【同時接続17人】

あのこのP:またレベルアップ、だと……

イケメン戦国は人生:職業確定したら武器も用意すっぞ!今のうちに調べてくる。

くろ妹:ひょおおお、は草

さすらい:これ……。動画別のSNSで拡散していいですか?ワンチャンバズるかも

―――――


「切り抜きは黙認! でも悪意あるやつは止めて、な――」



 ――ぴき。



 レベルアップに味をしめていると、勢い良く向かってきたシルスラに俺の右拳が久々にヒット。


 その固い表皮にヒビが入り、初めてシルスラはその動きを鈍らせた。


―――――

■チャット↓【同時接続18人】

あのこのP:いけええぇぇええっ! 

イケメン戦国は人生:勿体ないかもだけど、まずはこれを倒すのが先決。

くろ妹:いけ!

さすらい:マジかよ。シルバースライム倒す初心者いるとか……。ここ切り抜きます。

―――――


「待ってろお前ら! 今、期待に応えてやるからさ! いよっし! 捕まえた!」

「ぴぎっ……」

「もう暴れる元気もないみたい……。ということはやりたい放題じゃ!」


 完全に停止したシルスラを左脇に挟んで固定。


 逃げだそうと若干動いてはいるけど、こんなのはどうってことない。


 あとはこのまま太鼓を叩くみたいに拳で連打、連打、連打、連打!


「はぁはぁはぁはぁはぁ……。これで終わりだ!」

「ぴっ!」


 シルスラの残りHPが僅かになると、俺はシルスラを高く放り投げて、目一杯のかっこつけで落ちてくるシルスラに上段蹴りをお見舞いさせた。


「やった、か? って、危なっ!」


――どす。


 慣れないことしてそのあとに尻餅をついてしまった。


 しまらないよな、こういうところ。


 でも……。


『レベルが【12】に上がりました。職業選択及び職業ユニークスキルの取得が可能となりました。拳闘術がスキルレベル2に上がりました』


「ひぃぃぃい! 経験値美味すぎる!」


―――――

■チャット↓【同時接続35人】

あのこのP:おめ!

イケメン戦国は人生:職業選択!

くろ妹:同接急に増えるじゃん

さすらい:1日で12レベルとか俺より遥かに……

熱血冷え性:おめ!

メガネで女神:おめ!

―――――


 カッコいいとか悪いとか同でも良くなるくらい気持ちいいんですけど!


 一気にレベルアップするこの快感、脳がおかしくなるって!


 引きこもってることも忘れそうだわ!


「これ俺最強なのでは?」


―――――

■チャット↓【同時接続35人】

あのこのP:強靭無敵最強!

イケメン戦国は人生:12で最強はないわ

くろ妹:調子乗るな

さすらい:12レベルならランク授与あるし、最強はあれだけど普通に凄い。

熱血冷え性:ランクはFスタートだっけ?

さすらい:そう。毎月集めた魔力結晶の数に応じて売却額とは別に給付金がもらえる。

―――――


「……俺、Vtuberで一生過ごそうかな――」



「――た、たすけてっ!」

「なんか今日はあんまり集まんないな……。ってなんだ、お前?」



 もらった経験値にうはうはしていると、背後から声が。


「まさか……」


 息を飲みながら視線を移す。


 するとそこには、俺の時と同じ様な明らかに陰キャな女子と荒井君の姿があった。

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