第4話 黒音

「……前言撤回。今日はモンスター倒すまで耐久は終わっちゃったからレベル5アップまで耐久するわ! どんぐらいかかるかわかんないけど、復帰一発目位長時間でもいいよな? 仕事とか学校とかある人どう? こういうのやっぱ休日のがいい感じ?」


―――――

■チャット↓【同時接続5人】

くろ妹:ちょくちょくチェックするからおk

あのこのP:そろそろ出勤で18時退勤の俺、正直帰宅までやってろって思ってる。

イケメン戦国は人生:私生活どうなってるの? って聞くのはタブーか。暇なら続けた方がよくない? お金になるんだし。ちな私はどっちでもおk

―――――


「じゃあちょっとタイトル変えてくるわ。ちょい待っててな」


 視点変更。


 モニターに近寄ってそれらしいボタンをタップする。


 するとあっという間に俺はあっという間に元の身体に戻った。


「待たせてるし急いでタイトルの変更を……。でも長くなるならトイレも済ませておくか」


 さっきまでダンジョンにいたって言うのが嘘かと思うような世界の切り替わり。


 本当にこっちの身体にダメージはない。


 だけど、ちょっと身体に熱が籠ってる感じがあるような。

 俺痩せてる方じゃないし、今日は気温が高いからかな?


 とにかく急いでトイレトイレ。



 ――ガチャ。



「あ……」

「うっ……」


 部屋を出るとそこには義妹が。


 もう何年も一緒に住んでるのにほとんどしゃべったことないし、不良っぽくいというかギャルっぽいというかちょっと苦手なんだよな。


 今日も学校行ってないみたいだし。


 お義父さんが俺にやたらと優しいのも多分娘がこういう感じで反抗期だからなんだと思う。


 再婚したことが原因でよく喧嘩してるみたいで、俺もそれに巻き込まれたことあったっけ。


「えっと、その、お、おはよう黒音くおん

「なんできょどってんの? キモイよ、それ」

「……ごめん」

「別に怒ってるわけじゃないから。……簡単に謝らない方がいい。あんたもあんたの母親も」

「……ごめん」

「本当に怒るよ」

「ごめ――」

「そんなだからいじめられるんじゃないの?」

「そう、かもな」

「……。はぁ。信じらんない。なんであんたは普段から……。ううん。いいや。今日はもう」

「あ、えっと。そうだ。黒音も学校休んでるんだろ? もし体調が悪いんだったら俺が何か買ってきて――」

「元気が戻ってきたのはいいけど、人の世話を焼くほど暇なら学校行くとかもっと他にやることあるんじゃないの? ま、これは私が言えることじゃないかもだけど」

「はは。手厳しいけどその通りだよ。もっと頑張らないとだよな、俺」


 愛想笑いを浮かべた俺に冷たい視線を向けて台所に向かった黒音。


 でも、こんなに話してくれたことなかったから意外だし、ちょっと嬉しいかも。


「ってそうだったトイレトイレ」


 ――ジャーッ。……。……。……。ガチャ。


 そうして義妹との久々の会話に若干テンションを上げると俺は再びダンジョンへ向かう。


 そういえば稼いだお金結構あるかもだし、母さんとお義父さん、それい黒音にもこの分で何か買ってあげてもいいな。


 ま、その前に学校復帰が先だけど。


 どれだけ強くなろうがいつまでも引きこもりダンジョン暮らしって訳にはいかないからなぁ。


 俺があのアバターの、あんな性格に外でもなれたら……荒井君が居ようが学校に行ける、んだろうか?


「――よいしょ。ただいま! ってええええ!!」


―――――

耐久値:4900/9999

―――――


「なんだよこれ! なんでこんなに耐久値減ってるの?」


―――――

■チャット↓【同時接続10人】

あのこのP:帰って来た! レアモンスターいるぞっ!! 

イケメン戦国は人生:シルバースライムはダメージ入りにくいけど、ちょっとずつダメージはいるからごり押しでいけ!! だってさ! ググったら!

くろ妹:ここが頑張りどころ。

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