第6話 自宅 

「よしっ! 今回も私の勝ち~。全戦全勝、私最強! ごろも良くて、気分も爽快!」//テンション高め


「まぁまぁそんなにむきにならないで」


「そんな表情されたら次はどんなハンデを使って勝とうか迷うでしょ」//いじわるな感じで


「このゲームやったことないよな? うんそうだよ。初戦のビギナーズラックでだいたいこのゲームで何が強いか、何をされたら嫌なのかがわかっちゃったんだよねー」


「つまり天性の才能ってこと。本当に申し訳ないと思ってるんだよ? あなたがこのゲームで私にカッコいいところを見せたかったんだろうけど、私の抑えられないこのすばらしいテクニックを披露しちゃって」//全然申し訳なさそうな感じで


「……もうそろそろ眠い? うーんそうだね、ってもう日付が変わる時間なんだ!? 時の流れは速いね。楽しい時間は一瞬だ」


「ふわぁー、なんかいい感じに疲れてるからちょっと眠いかも」


「布団引くからちょっと待って? いやいや、それは私がするから。私はお客様としてここに来てるわけじゃないの。だから君はここに座ってて」


//SE 布団を敷く音


「……というか最初に部屋に入ってからずっと思ってたんだけど、全然ものが置かれてないよね。引き出しのほとんどが空っぽだし、部屋に全然彩りがない。かと言ってミニマリストってわけでもないんでしょ?」


「あんまり物欲が湧かないから? 流石無キャだね」


「——あっ、でもそういう人って、一度ハマったら抜けられないんじゃない?」//目をキラキラさせる感じで


「んー、私ちょっと期待してたんだよね。もしも、壁中に私の隠し撮り写真を大量に貼られてたらどんな反応しようかなって」


「そんなことしない? えー? 別にしてても良いんだよ? まぁ多分、十分も居られないだろうけど」


「——はいっ、布団の準備できましたっと。それじゃあ電気消すね」


//SE 電気のスイッチを押す音


「それから布団の近くにあるスタンドライトを点灯」


//SE スタンドライトのスイッチを押す音


//SE 布団をかける音


「さぁて、一つ屋根の下で一つ布団の中に入って一緒に寝ますか。……あれ? 別々の布団で寝ちゃうの?」


「そのために二つ用意した? 確かにこの布団で二人並ぶにはちょっと狭すぎるか」


「将来的にはダブルサイズのベッドで一緒に寝ようね」//すごくニコニコしてる感じで


「……そっぽ向いてても、どんな顔してるのか想像できるのが君のいいところだよ。いじりがいがあって可愛い私の彼氏クン」


「というかちょっと遠いよね? 仕方がないから私が近くに寄ってあげよう」


//SE 敷布団を寄せる音


//SE 布団をかける音


「よいしょっと。……君の両親本当に仲が良いんだね。結婚記念日に一泊二日の温泉旅行かぁ。私もあこがれるなー」


「温泉旅行に? ……君、全然わかってないね。私もずっとそういう関係でいられたら良いなって話」//頬を膨らます感じで


「ずっと仲良しで、ずっと一緒がいいな。も、もちろん君と。へへっ」//照れてる感じで


「————」


「寝てるの?」


//演技 耳に優しく息を吹きかける


「どう? びっくりした?」


「もう少しで夢の中だった? それは危ないところだったね、私よりも先に寝るなんて無期懲役だから。気を付けること」


「理不尽だ? 私がルール、これが世界の秩序。だから——って本当にもう寝ちゃうの? ねぇってば」


//SE 体を少しゆする音


「……仕方がない、か。いつもやることがないから十時に寝てる君が私のために起きててくれたんだから。ほんと、ありがと」


「でも、私よりも早く寝たんだから、刑罰を実行しないとね」


「ではでは。主文、被告人を無期懲役として私から離れることを禁じます。なお、本件の再審は認めません。たとえ君が起きてたとしても、ね」


//SE 服がこすれる音

耳元で囁くように


「おやすみ」

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