第5話

 先生の後をついていくだけ。だけど、この瞬間も、なんだか愛おしく感じてしまう。

 踏切の遮断機が下りて、電車待ち。

 先生は、写真を撮るのが趣味でカメラを持ち歩いているようだ。

 さっきまでも、ずっと写真を撮りに出かけていたらしい。さっき撮ってきた写真を、楽しそうに見せてきた。

 ここがどうとか、この建物がとても綺麗だとか。横で、楽しそうに話している先生がとても可愛くてかっこよくて、無意識に先生のことを横目で見ていた。


「ん? どうした?」

「えっ? あ、いや、なんでもないです」

 先生に気づかれた。

「写真じゃなくて、俺のことばっか見ていただろ?」

「気づいてました?」

「気づいてたわ、バカ」

 気づかれていたの、恥ずかしい………。



 海について、先生はさっそくカメラを構えた。


「立花、そこに立って?」

「ここですか?」

「うん」


 先生の指示に従った。


「あっ。夕日」


 あっという間に、日が暮れようとしている。夕日がとてもきれい。


「先生、夕日が綺麗ですよ!」


 振り返ったとたん、パシャリとシャッターを切った音が響いた。


「立花、すごく可愛く撮れたよ」

 そう言いながら、写真を見せてきた先生。

 確かに、すごくよく写ってる。


「先生、すごいですね!」

「あとで、現像してあげるよ」

「え、いいんですか⁉」

「うん」

「ありがとうございます!」


 この時間が、止まればいいのに。

 今は、幸せすぎてそんなことしか考えられなかった―――。

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