第4話

「おかえり」

「えっ?」


 リビングに入ってきた先生は、とても驚いた表情をしていた。

 まあ、そりゃそうだろうな。


「お久しぶりです。覚えていますか?」

「もちろん覚えてるよ。立花だろ?」

「はい」


 変わってない。この雰囲気。

 久しぶりすぎて、ドキドキしている。


「立花さん、亮太に用があるみたいでね」



「先生、私にハガキ出しましたか?」

「うん。出したよ」


 先生は疑いもなく、返事した。


「なんでですか?」

「なんでって、特に理由はないけど」

「理由もなく、元生徒にハガキなんて送ります?」


 先生は黙ってしまった。


「先生?」


「あ、そうだ。いきなりなんでけどさ、海行くか?」

「海? てか、誤魔化さないでくださいよー」


 そう言って立ち上がった先生の背中を、躊躇なく追いかけていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る