第3話

 江ノ電に乗って、鎌倉高校前で降りる。

 家に届いたはがきに書いてある住所を頼りに先生の家を探す。大体、駅から歩いて15分くらいだ。


「あ、ここかな」


 住宅街に入って奥にある、緑色の屋根の家。

 住所と見比べると、あっている。


 先生いるかな……?

 少し震える手を抑えて、インターホンを鳴らす。


「はい」


 ん? 女性の声?

 え? 先生、もしかして……?


 彼女がいるのかも? という疑問を抱きながら、インターホンに喋りかける。


「あの、突然すみません。ここに、王堂亮太さんはいますか? 私、高校時代に王堂先生の元生徒の立花です」

「はあ、なるほど。息子の亮太は、今外出中ですが」

「そうですか」


 インターホンに出た女性は、どうやら先生の母親みたいだ。

 インターホンが切れて、先生のお母さんが外に出た。


「どうも」

 軽く会釈をする。

「あの、どうしますか?」

「えっ?」




 先生が戻ってくるまで家に入れてくださったのだ。


「お邪魔します。ありがとうございます」


 お茶を飲みながら、お話をして先生のことを待つ。

 しばらくゆっくりしていると、


「ただいまー」


 久しぶりだな。

 この、鼻にかかるような低めの声―――。

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