第2話

「雫、先生がかっこいいって言ってすごい話してきたの覚えてる?」

「うん、覚えてるよ」


 当時私は、何かあるたびに美波に話していたんだ。

 棚から卒業アルバムを引っ張り出して、美波と思い出に浸っていた。

 その時、お母さんが部屋に来て、


「雫、誰かからハガキが来てたわよ」

「ハガキ?」

 お母さんが持ってきたハガキを受け取ると、

「えっ?」


「先生だ……」

「え?」

 美波にハガキを見せる。

「雫、先生のこと忘れられてないんじゃない?」

「うん。そうかも……」

 確かに、仕事中もたまに先生のことを思い出す。今何してるのか?とか、元気にやっているのかなとか。

 自分でも、なんで思い出すのかわからなかった。でも、今わかった。


 ハガキの内容は暑中見舞い。近況報告とのことだ。

 住所、間違っていなかったら会えるかも……。


「美波、ちょっとでかけてくる」

「先生のところ、行ってくるの?」

「うん」

「わかった。いってらっしゃい」


 今はお昼過ぎ。先生が住んでいるところは、私が通っていた鎌倉高校の近く。


「お母さん、ちょっとでかけてくる」

「いってらっしゃい」


 今から行けばまにあうかも……!

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