第23話 次の授業に備えて

アヤ先生と入れ替わるように柳原先生が教室に入ってきた。1限目の授業は柳原先生が1人で担当すると聞いているが大丈夫なのだろうか?そんな緊張を紛らわすために自分たちに話しかけてきた。

「やっぱり、初めての授業は緊張するよね・・・」

「きっと柳原先生なら上手くやれますよ。確証はないですけど・・・」

「シュウ、そこは嘘でも大丈夫って言わないと・・・サオリン先生なら大丈夫だって、多分?」

「あなた達、わざと私をからかっているでしょ。いいわ、見ていなさい。私の伝説が始まる瞬間を!!」

「さっすがサオリン先生、かっこいいよ!」

2人は大いに盛り上がっていたが、意外なことに響也もそれに加わった。

「今のセリフ、スマホゲームのヘドバンですよね?柳原先生も結構ゲームやられるんですか?」

「あら、意外と立花君も通だね〜。こう見えても私はトレーナー先生P旅人指揮官なのよ」

「それは流石にもう少しゲームを控えた方がいいのでは・・・」

そんなツッコミをよそにゲーム話はさらに加熱し盛り上がる。

「ヘドバンの売りはやっぱりストーリーだよね。2章と3章のメインもいいけどサイドストーリーも本編に絡んでくるからより深い世界観を味わえるんだよね」

「本当にその通りです。音楽も素晴らしくて、非日常のギャグパートも面白いし語り出すと止まらなくなりますね」

そんなやり取りをあかりは冷やかな視線で眺めていた。

「完全に手遅れだわ。このゲーム脳どもが・・・」

「気持ちは分かるけども少し落ち着いて」

積もる話が尽きないようだが、次の授業に備えて準備を整えなければならない。適当なタイミングで話を切り上げる。

「柳原先生、そろそろ授業の準備をしないと・・・」

「それもそうね、みんなと話せて楽しかったよ。今度、推しキャラのために天井課金した話を聞かせてあげるね♪」

いったいどれだけお金を突っ込んだのか・・・。本当にあった怖い話はさておいて、柳原先生の緊張がほぐれたことは間違いない。出陣のチャイムが鳴り、柳原先生の戦いの火蓋が切って落とされた。


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