第2話

ここ数日、じいちゃんは本当に倒れたのかと疑いたくなるほど毎日元気に過ごしていて、歩夢も毎日じいちゃんの家に来た。


歩夢は俺より2歳年上で、俺たちは歳が近いことからたわいも無い話を繰り返してはお互いの趣味を共有し合うようになっていた。


「歩夢さ?俺がこっちに来た日、庭で会ったじゃん?あの時、初めましてじゃないかな?って言ってたけど…俺たちあの時が初めましてだよね?」


*「初めましてじゃないよ?隼人は小さかったから覚えてないのかもしれないけど…僕が8歳で隼人が6歳の時に僕たち一緒に遊んでるよ?」


「え!?うそ!?」


*「写真持ってきてあげる!!」


そう言って歩夢はチャリに跨り少し離れた自分の家へとチャリを走らせた。


祖父「歩夢は覚えておったんだな〜あの夏の日のこと…」


「じいちゃん聞いてたのかよ。」


祖父「あいつもショックだったろうから…思い出さないように歩夢にはあの話はしてないんだがな……覚えておったんだな……あの夏の日も…今年みたいに暑くてな…お前はその年の夏休み…仕事の忙しい両親に代わって1か月間ワシに預けられてたんだよ…その間、この庭でワシが買った小さなプールでずっと水遊びをして遊んでたんだ……」


「へぇ〜」


祖父「歩夢も当時はまだ、こっちに住んでなくてな…ばあちゃんの家に帰省中で…たまたま家の前を通りかかって…ワシが一緒に遊べばいいって声をかけて…それからお前たちは毎日のように小さなプールで遊んでいたよ。」


「全然、覚えてねぇや俺…」


祖父「本当にお前ってやつは…恩知らずだな?お前は…歩夢がいなかったら…今頃…ここにいないんだぞ?」


「え?それどういう意味?」


祖父「あの日は確か歩夢はおばあちゃんと一緒に街に出ててな…お前は歩夢がいない寂しさを紛らわすようにしてずっと1人でつまらない顔しながらプールで水鉄砲したりして時間を過ごしてたんだよ…ワシもずっとお前を見てたんだが…お前の母ちゃんから電話がなってな…その電話をしてる隙に…お前は足を滑らせてプールの中で転んだんだ…」


「え…まさか…このデコの傷って…」


祖父「その時にできたんだよ。ただ、転んだだけじゃなくて…運悪く頭を打ってお前は気絶した…プールの中でうつ伏せの状態のまま…ワシが気づかず電話をしていたら歩夢のワシを呼ぶ声がして慌てて庭に出たら…グッタリとするお前を抱きかかえて泣いている歩夢がいたよ…」


「歩夢が……」


祖父「そのまま救急車で運ばれてお前は助かったが…あと発見が2分遅かったら命は危なかっただろう…って…お前は歩夢に命を助けられたんだよ…」


「そうだったんだ……」


そんな話をしていると歩夢がチャリで息を切らしながら帰ってきた。



つづく

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