第152話 腰布

 ようやく動きだした、ムアール連邦軍。

 世論は無能、役立たず、解散などと騒ぎ立ている。


 Bobbit worm 問題は武闘大国エルドリアの飛空艇による爆撃攻撃により、完全に鎮圧したような状態、しかもエルドリアは湾岸の国、大帝国アリバンを属国として、睨みを聞かせている。


 ムアール連邦に属していない国、連邦として手を出せない状況。

 都市スメデロボは、大帝国アリバンが隣国であり、昔から交流を持っていた事と、魔女つながりにより、湾岸の警備をエルドリア空軍に依頼している。


 ムアール連邦軍が都市スメデロボに到着、必要ないから帰れと言われた。

 エルドリア軍は、Bobbit wormの目撃情報により、出撃し必殺兵器爆魔石弾を使いBobbit wormを撃滅。

 出撃回数と爆魔石弾の使用個数を請求、決して安い金額ではないが、軍も冒険者も被害ゼロにて安全が確保できている。


 連邦軍は爆魔石弾をエルドリア軍から購入しようとしたが拒否。

 爆魔石弾がなければ、連邦軍にとんでもない被害が出る、爆魔石弾のキモは、漆黒の魔女の魔石であることを突き止めダラムにやってきていた。


 ダラム冒険者ギルドの酒場では、白熱した議論が交わされていた、領主はもちろん、騎兵隊隊長のプラチャコーン、夜の砂亭の女将まで出席。

「 魔女様は、魔法の研究をするために、ダラムを拠点としたのだ 」

「 それを、なんでもかんでも魔女様に頼むから、ダラムではじっくり研究できないと思われてしまったんだ 」

「 頼り過ぎたんだぁ 」


「 それだけじゃない、重たい水を運んでいる農夫を気遣い、水車を考案、魔女様が自腹で設置してくださった 」

「 それを食い意地が張っている! 」ダムロン真っ青

「 どうして魔女様が自腹で工事なのだ、都市ダラムの行政でやるべきことじゃないのか 」

 スッチン伯爵 真っ青

「 魔女様になんでもかんでも依頼する野郎 」ギルマス真っ青

「 魔獣が出てもやくに立たないダラム軍 」プラチャコーン真っ青


「 だめだぁーーっ! 」

「 ダラムの上の奴らは、全部魔女様に頼って仕事してねぇ 」


「 上が腐っているからこんなことになったんだぁ 」


 どの世界も同じような。。。。

 本人は何もせず、アイデアもないのに、すべて行政の責任にして、どうやって文句を言うのかそれだけを考える奴ら。


「 魔女様がダラムからいなくなったら、お前らも出ていけ! 」


 突然ドカドカと入って来た者達、連邦軍である。


「 漆黒の魔女様に、Bobbit worm 討伐用の魔石を依頼したい 」

「 ここで依頼は受けてもらえるのか 」


「 殺すぞ! おまえらぁーーーっ! 」

「 役に立たない、連邦軍は今すぐ出ていけ! 」


 ダラム冒険者ギルドの前に佇む連邦軍幹部。

「 お、俺達、これほど嫌われていたんだなぁ 」

「 連邦軍やめて、冒険者になろうかなぁ、地元の軍にいれてもらえないかなぁ 」


 国家元首エンリコ閣下は頭を抱えていた。

 必死に駆けずり回り、各省と調整に調整を重ね連邦軍を都市スメデロボに派遣した。


 遅すぎる、役立たずとさらなる非難を浴び、スメデロボから出ていけとまで。

 Bobbit worm と戦う唯一の手段、Bobbit worm の消滅魔法を封印した魔石を手に入れる事もできず、引き返すしかない状況。

 辺境の都市に軍を派遣、多量の予算だけを消費、さらなる非難。


 巨大な木々に飲み込まれた遺跡であったが、一部の建造物は新品のように修復され、女二人が住むには十分すぎる拠点の出来上がり。


 しかもメイドスケルトンが6匹、遺跡を守るサイクロプスが10匹、護衛はもっと増える予定。

 遺跡のダンジョン化が進んでいる。

 後しばらく強力な魔物を吸収させれば、自力で防衛もできるようになるはず。


 私はメイドスケルトンに手伝わせて、腰布を作成、サイクロプスの腰に。

 ペットボトルのような物が、プラプラ、気が散って何もできなくなるからだ。


「 ふぅ 」やっと10匹に巻き付けた。

「 こらぁーーーっ! はずすなぁーーーっ! 」

「 人間でさえ裸が平気な種族もいるのに、魔獣にそれを求めるのは無理じゃないかしら 」

「 それに、そんなに気にしなくても、眼の保養になるしいいじゃない 」

 封印の魔女は丸出しのほうが良いみたいな。


 新品の調理道具に寝具。

「 後は家具、食器、壁に絵が欲しいわね 」

「 一緒に買いに行きましょう 」

 エルドリアのロクトリアに、個人で所有できる小型の飛行船を検討してもらっている。


 封印の魔女の使い魔、スライムのポテポト、エンケドラスと一緒に狩をしたのが良かったのか、猛烈に能力が向上。


 もともと擬態能力があったのだが、グリフォンのような大型飛行系魔物に擬態できるようになった、封印の魔女を背に乗せ空を飛ぶまでに進化。

 封印の魔女は、スライムが変かしたグリフォンに、私はエンケドラスに乗り魔界の空をダラムに向かって飛んで移動。


 ダラムの城門を通る。

 魔界と違い人が沢山。


「 魔界も良いけれど、人が住んでいるところもいいわねぇ 」

「 気分に合わせていくつかの拠点で生活しましょう 」

 ポチを預かってもらっているし、ダラムを引き払う気は全くない、拠点が二つに増えるだけだ、いや、3つかも、チャエブ村の封印の魔女の家も。

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