第150話 水車完成

 領主の館、スッチン伯爵、ギルマスのチャロンポングが、魔女と ステーキハウス くろんぼう で食事をしたと知って、廃人状態から少し戻ってきていた。

 彼は、冒険者ギルドにいた、者達を引き連れて、ステーキハウスに行ったという理解ではなく、チャロンポングと二人だけで、食事をしたのだと解釈したのだ。

「 俺がいると、食事の誘いを断のかぁ 」魔女様命の領主である。


「 領主様、ご報告があります 」

「 家の魔女様が、アップルプル畑で、人を集め何か作っている? 」

「 何を? 」

「 さぁ~っ 」

「 ドワーフ族、冒険者、農夫たちも手伝っています 」

「 冒険者も参加しているのかぁーーーっ! 」

「 う、裏切りものぉーーっ、自分だけ気に入られやがってぇ 」

「 どうして、もっと早く報告しないのだぁ 」

「 騎兵隊隊長プラチャコーン 直ぐに、アップルプル畑の工事現場に行き、手伝いをさせてもらえ、人手は何人でも出す 」

「 いいかぁ、ギルドの冒険者より、多くだぞ 」


 人手は十分だと言われ、そこを何とかと頼み込んだ結果、水運びと農地の雑草引き、害虫駆除をやらしてもらえる事になった、ダラム軍であった。


 騎士たちは、フルメタルの鎧を着て作業できるはずもなく、脱ぎ散らかして作業。

 街から多くの女性が、差し入れを持ち込む、もはや大型国家工事動員数。


 なんとなく思いついた事が大騒ぎになってしまった。

 それにしても、街中の女性が差し入れを持って集まってきている気がしないでもない。


 私でさえ、なんとなく、足が向いてしまうし、ガン観しすぎて眼が付かれた気がする。


「 トイレは、肥料になりますから、農地でお願いしますね 」農家の人が呼びかけ。

 文明社会から最も遠くなった工事現場。


 それでも水車はでき合っていく、直径6mの水車が三つ連なるである、近くでみると迫力がある。

 最初の水車で 75㎝ 、2番目の水車で45 cm、3番目の水車で 30cm水をくみ上げる仕組みなのよ。


「 えへへへへへ 」幅いろい水路に大型の3連水車、あたり一面畑、切り取って絵にして、飾りたい景色。

 自然の中に、ほんのちょっぴり人工物が混じっているのが粋なのよ。


 工事は1ヶ月近く、ほぼ毎日見に行ったためか、何についてはどうでも良くなってしまった。

 ほとんど気にならない。

 たまに、少し観るのが、美学なのかもしれない。


「 魔女様、完成しました 」

 何度も動作確認しているので、間違いないはずだ。

 物凄い人だかりができている。


「 水門を開けて 」

 水車に水が流れ込まないよう、落としブタで止めていたのを外す。

 水が一気に流れて、ゆっくりと回転を始める。

 ギシギシと音がする。


「 ぉおーーーーっ! 」

 支流となる水路から、1.4m高さの小さな水路に水がくみ上げられ流れ出す。


「 美味しいアップルプルを作って下さいね 」

「 お前なぁ 」ダムロンである。

「 休んでいろっていっただろう 」

「 いくら、アップルプルが好きだからと言って、あんなものまで作って、食い意地が張り過ぎだろう 」

 食い意地が張っている、レディに言ってはならない事が。


「 金輪際口きかないから! その顔見せないで! 」

 プィ


 屍のような、男が一匹出来上がった。


 冒険者ギルドにいると、詰めかけて来る、農家の人と、眼をキラキラして何かを作りたくてたまらなそうなドワーフ達。


「 魔女様! この場所に水を引けませんか 」

「 俺達直ぐに作ります 」


「 こらぁーーーっ! 」

「 魔女様は働き過ぎなのだぁーーっ! 」

「 遠慮しろぉーーーっ! 」


 水車の基本設計みたいなものはしたよ、それだけ、ここ1ヶ月、工事の進捗を毎日観に行っていたけど(たてまえ)違う物を熱心に観察していただけだ。。。。


「 そうねぇ 」

「 支流となる水路から、目的地までの高低差を調べてくれない 」

「 どのくらい水をくみ上げるのかが知りたいから 」


「 これくらいの高低差なら、水車は一つで十分ね 」

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