第149話 水車を作ろう

 宿の部屋、テーブルの上に山積みなった食べ物、一通り口に入れていく。

「 んっ 」 これ美味しい。

「 シュミハザ、これなんて言うの 」

「 アップルプルです 」

「 ダラムの農地で、アップルプルを栽培している場所を調べて 」


「 へぇーっ、木に成るんだぁ 」

「 テーブルの上にある果物はすべて木になります 」

「 そ、そうなの 」


「 農家の人は何をしているの? 」

「 水を運んでいるようです 」

「 あんなに遠くから 」


 天秤の要領で肩に棒を担ぎ、両端に水桶をぶら下げてあるいている。

 アップルプルの木のとこまで来ると、水桶をばらまいて、戻って行って、また水を運ぶ。

 それを繰り返している。


「 どうして、水路をつくらないのかしら 」

「 土地の勾配が、水路より高いために、水が上がらないのです 」

「 ふーーん 」


「 エンケドラス、観に行こう 」

 ダンドラのポチの手綱を引き、横にエンケドラス、第一階層にある、アップルプル畑まできてしまった。

 で、ボォーート 水を運ぶ人を見ていた、案外飽きない。


「 魔女様、どうぞ 」

「 えへへへへ 」 アップルプルもらっちゃった。


 アップルプルを食べながら、ボォーート 水を運ぶ人を眺めているたわけだ。

 夜が明けかけの薄暗いときから、水運び、日が暮れて真っ暗になるまで、もくもくとやっている、こんなに頑張っているから、美味しいのかもしれない。


 ボォーート眺めているだけで、両手で持てないほどもらってしまった、何かお礼したい。


 まだ地底で生活していたころ観た映画の中で、そう、水車だ、水車が水路にあって、水を別の水路に流していた。

 とっさに思いついた、ここまで水路を作り、水車で水を流せば、なんとかできそうな。


「 シュミハザ、水路から私がいる所の高低差はどのくらい 」

「 1.3mです 」

「 なんとかなりそうね 」

「 水車で水路の水を1.5mほどくみ上げて、そこから水路で流す 」

「 水車よ水車、シュミハザ、水車の設計できる? 」

「 設計は可能なのですが、計算できるマテリアルデータは5000年前の素材となります、現在調達できる物はデータがありません 」

「 じゃぁ、一緒に考えましょう 」


 冒険者ギルドで借りている部屋に直行。


「 マリカ、マリカ そろそろ3日になる、魔女様は部屋にこもって何をしているのか、調べてきてくれ 」

「 魔女様は、ゆっくりしてもらいたいのだ 」

「 労働はほんのチョットが望ましい、私が責められてしまうし。。。 」

 ギルマスチャロンポング、魔女に頼りすぎ、働かせすぎだと冒険者から非難を浴びている男である。


 3日ぶりに、研究室から出てくると、ギルドで持ち込み品の鑑定をやっている、ドワーフ族のドリドリドンさんに声をかける。

「 もの作りが得意な方ご存じないかしら 」

 ドリドリドンは、気絶した。


 マリカが急いで駆け付けて来る。

「 魔女様ぁ、私が話しかけただけでも、顔を真っ赤にして貧乏ゆすりするほどの上がり症なのですよ 」

「 魔女様が直接声をかけたら 」指を指す。

「 こうなります 」


「 腕の良いドワーフの職人を紹介してほしかったの 」

「 マリカにお任せ下さい 」

「 私は、宿にいるから知らせてね 」

 マリカが宿にやってきてたたき起こされた。

「 うぅぅっ 」まだ 31時間しか寝てないのに。


 寝すぎで眠いけれど、私が依頼したし、しかたなくギルドに。

 ギルドの酒場に、髭ズラ筋肉だるま、ドワーフが30人以上いた。


 あつくるしい!


 城壁国家ダラムで、主に鍛冶の仕事を取り仕切っております、ドリドリガンでございます。

「 ドリドリドンは、息子です 」

「 集まってくれてありがとう 」

「 3連水車と水路を作ってほしいの 」

 ドワーフ達の頭の上 ???? が浮かんでいる気がした。


 やっぱり。

 4年以上になるが、水車を見た事がなかった、どうやら知らないみたいな。


 そこは、バッチシ。

 シュミハザに水車のデモ画像を作らせたのだ、スフィアを使って再生すれば、イメージしてもらえるはず。


「 まずは、映像を観て 」

「 ダラムのアップルプルの畑に水を通すための物よ 」


「 ぉおーーーーっ! 」

「 ものづくりの魂にビビットきたぁーーーっ! 」

「 これが、参考設計図 」

「 ダラムで調達できる物がわからないから、それに合わせて修正してね 」

「 す、すばらしぃーーーっ! 」


 髭ズラの筋肉だるまが30人以上集まると、とんでもなく あつくるしい。


 現場に全員で移動。

「 工事費用は私持ち、遠慮しないで良い物を作って 」


 数日後早起きして工事現場の様子見、そう、早起きしたのよ、えらい。

 何故か、関係無いはずの、スワニーやマリカ、宿の女将さん達、気合が入っている。


 スワニーなんか、聖魔教会から差し入れまでしている。

 アップルプル畑に、水路作りをして農家の人、水車を作っているドワーフ族、資材もつみあげられている。

 よく考えてみると、私の土地でも水路でもないのだが、工事をやっている。


「 大丈夫なのかしら 」


 作業者さんたち。

「 熱いなぁ、熱い熱い 」

 服を脱いだ、厚着していないので、残り腰布だけ。

 嫌な予感がビシバシ。

 やっぱりね。


 熱いと全裸になる現地人


 スワニー達の気合の入りようが異常だった理由がわかってしまった。

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