第148話 魔石爆弾

「 都市スメデロボに、民を避難させろ! 」

「 皆も逃げろ! 」

「 お前たちのこれまでの、わたしへの忠誠、こころより感謝する 」

 王も家臣たちもガン泣き。


 アリバタン・ババトル・アリバン国王、逃げたい、逃げたいが、都市スメデロボに逃げ、借金踏み倒したとわかれば、犯罪者である。

「 い、潔く、大帝国アリバタン国王として、国と共に亡ぼうではないか 」

 大帝国アリバンの国王が犯罪奴隷や、借金踏み倒しの犯罪者として罰を受けるわけにはいかない。


「 俺は死ぬしかないのかぁ 」


 ダラムにいながらも時々シュミハザで都市スメデロボ周辺の湾岸を調査させていた。

「 やっぱりまだいたか 」


 消滅コマンドを魔石に仕込んだ、魔石爆弾 15個が完成している。

 ロクトリア・イシス武闘大国エルドリア第二王女に連絡を取る、事前に連絡用の魔石を渡しておいたのだ。


 エルドリア武闘大国は、新たなビジネスを模索していた。

「 魔石に魔法を組み込んだ、Bobbit worm 対応の魔石爆弾を買わない 」

「 もちろん買いますぅ 」

 秘密の裏取引は成立したのよ。


「 魔石は小さいから、大きな石に引っ付けて、エルドリア帝国の爆魔石弾とすることまで決めている 」


 最初の作品でもあるし、エルドリアの飛空艇に乗せてもらい、Bobbit worm を発見した現場に急ぐ。

「 ここ、ムアール連邦の領土じゃないわねぇ 」

「 近くに大きな町があるようだわ 」

 町ではなく、大帝国アリバンであった。

「 民が逃げ出しているわね 」

 町がある方向に向かっている。


「 よし、まずは話を付けてこよう 」エルドリアのロクトリアは町に飛空艇を下した 」


「 ごろちゃないでくつちゃい、じゃっぎんはかえすあてがありましゃえーーん 」

 飛空艇の前に走り出て来た、男が泣き叫びながら土下座。


 5分ほど、ロクトリアと泣きわめく男と話をしたあと。

 満面の笑みを浮かべたロクトリアが戻ってきた。

 町ではなく、大帝国アリバンという国で、泣きわめいている男が国王、大帝国アリバンは、エルドリア武闘大国の属国となった。


 エルドリアは、山奥にある国、海が近くにある拠点を欲していた、湾外沿いのまずは、エルドリアの属国アリバンを拠点に、Bobbit worm 討伐を請け負うビジネスを展開するのだとか。

 さらにもう一つ、魚の空輸である、大帝国アリバンは漁業が主な産業、魚を内陸の国に売りまくる。

 ロクトリア・イシス武闘大国の王女であるが、商人の才能に秀でているのかもしれない。


 私達は再び飛空艇に乗り、湾岸沿いに、Bobbit worm を確認。

「 爆魔石弾投下準備 」

「 照準よし 」

「 投下 」

 消滅コマンドにより、ナノマシン426は破裂、Bobbit wormはド派手に爆発した。


「 す、凄い! 」

「 ぉおーっ! 」


「 効果は確かね 」

 魔石爆弾、1個 金貨100枚で買ってくれるそうだ、もちろん魔石は支給してもらう、500個の注文を受けた。


 すでに方法を確立しているので、出費ゼロ、魔石1個に書き込む時間は、30秒程度、くふふふふふ ぼろもうけだぁ。

 漆黒の魔女も満足していたが、ロクトリアは爆石弾1個金貨1000枚以上の価格で他国と取引できると踏んでいた。


 長年の夢、湾外沿いに拠点確保まで。

「 漆黒の魔女様は、エルドリアの恩人ですぅーーっ! 」

「 争い事なら、直ぐに駆け付け、ギッタンギッタンにしますから、任せてください 」


「Bobbit wormは継続的な討伐が必要である、時々私が出向くつもりだったが、エルドリアがビジネスとしてやってくれそうだし、任せる事に、超ラッキー。


 エルドラの飛行船で、城壁都市ダラムまで送ってもらった。


「 おい、魔女、いい加減にしろよ! 」

「 働き過ぎだろう、誰もが心配しているんだ、少しは休めよ 」

 私的にはほとんど働いていない気がするけれど、他人の評価などわからないものだ。

「 そうね、しばらく魔法の研究に集中したいから邪魔しないでね 」


「 任せておけ、ダラムの冒険者がお前の邪魔をさせねぇ 」

 そこまでしてほしくはない。


 ささやかな希望としては、昼頃まで惰眠をむさぼるレディの邪魔をしないでほしいだけだ。


「 ねぇ、ステーキハウス くろんぼう って知っている 」

「 シライでか、ダラムでステーキなら、くろんぼう、 焼肉なら金竜と決まっている 」

「 私のおごりよ、みんなで行かない 」

「 うぉーーーーっ! 」「 いく、いく 」


 忘れていたわけではない、用事が入ったから少し遅れたけれど、ついでに聖女スワニーの誕生祝い、懐があったかいので使いたいのだ。


「 聖女様のお誕生日なのですか 」

「 えぇ、数日前に、25になりましたの 」「 おほほほほ 」

 この大ウソつき、サバを読むのにしても限度を超えている。

 私に流し目、本当の事は言ってはならないってのがビシバシ伝わってくる。


 市場をぶらついている、封印の魔女の所に遊びに、手土産を物色しようとやってきた。


「 魔女様ぁ、これをどうぞ 」

「 魔女様ぁ、これをどうぞ 」

「 魔女様ぁ、これをどうぞ 」


 すでに両手一杯。

 何も買ってないけれど、帰ろう。

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