第143話 人海戦術

 Bobbit wormの体は伸縮自在の特徴もあり、比較的柔らかい、石が命中すると、それなりにちぎれて飛び散る、ほっておくと、飛び散ったすべての部分から増殖してくるので、さらに細かくして、焼くことで増殖しなくなる。

 人海戦術、討伐する戦力が有り余ると、何でもできる。


 ちなみに、焼いて食べると、美味しいらしい、生でも行けると、魚人達は太鼓判を押している。


 レディは気持ち悪いから食べないのよ。


 なんと カンドラ平原を支配する蛮族の王子、ロックサンヌ・エレプトン王子が、蛮族の戦士を引き連れてやってきた。

 始めてあったときは、おこちゃまだったのに、背がぐっと伸びて、カックイイなんてちょっと思ってしまった。


 都市スメデロボ領主の館を開放、入りきれないほどの人が集まっている。

 コツコツとブーツの音を響かせ、颯爽と近づいてくる、ロックサンヌ王子。


 メッチャ ニヤケタ顔、嫌な予感がする。

「 魔女様、ご報告があります、毛生えてきたのですよ 」

「 はぁ 」

「 見ますかぁ? 」


 突然他人のふりをする、蛮族の護衛達。

 いきなり殴りかかるロクトリア・イシス達。

 突然現れたハットク・ポンミイ伯爵が踏みつける。

「 ビィェェーーーーーーーン ビィェェーーーーーーーン 」泣き出すロックサンヌ王子。

「 はぁ~っ 」

 護衛の解説によると、もうすぐ大人になるから、結婚を申し込むからと言いたかったらしい、ずっと練習していたのだとか。

 ついつい忘れそうになる、この世界毛が生い茂ったら大人と認識されるのだ。


「 男なんてぇ、ごみくずだぁーーーっ! 」 叫びだす、魔女エレナ。

「 ぉぉーーーっ! 」同意する女性達。


 私の横に座っている、ブラディン伯爵が縮こまる。


「 遅くなり申し訳ありません 」都市プロンポンの領主 ハットク・ポンミイ伯爵も軍を引き連れて応援に駆けつけてきてくれた。


「 皆さんありがとう、交代で都市スメデロボに近づく、Bobbit worm に対応してください 」

「 必ず、弱点を突き留め、奴らを殲滅します 」


「 魔女様はおひとりで、魔法による足止めをなさっておりました、どうか、お休みください 」

 領主のブラディン伯爵である。

 私は16日間も昼夜問わず一睡もせずに、Bobbit wormの動きを魔法で止めていた事になっているような。。。。


 誰もが私の頑張りを称え涙を流す。


 最初の数発は私の指示だけれど、後はまぁ、レーザーアートなのだ。

 近づいてくる Bobbit worm をシュミハザが全自動で攻撃、いちおうそれをごまかすために、

 領主の館で一番高い塔の屋根の上に、私らしき姿をレーザーアートで、魔法陣はもちろんレーザーアートで、攻撃前に一瞬だけ表示するという、凝りに凝った演出なのよ。


 私は考え事があるからと、誰も近づくなと厳命した、塔の部屋の中で、考え事をしながら寝たいだけ寝ていたような気がしないでもない。

 ちょっと心が痛い。


「 皆様方、ありがとう、ありがとう、ありがちゅうごちゃいまずぅ。。。。 」頭を下げながらブラディン伯爵泣き出したぁ。


「 これだから、男はぁ 」

「 安心しな、あたしらがしきらせてもらうから 」

 女領主のたくましさって半端ねぇ。


 毎日魔法新聞を握りしめ、プルプル震える男がいた、国家元首エンリコ閣下である。

「 ムアール連邦の都市、異国の王国までが手を取り合い、Bobbit wormの脅威に対抗しているのに、もっとも中心となり活躍しなければならない連邦軍に動き ‘ な・し ’ とはどういう事だぁ! 」


「 ムアール連邦軍は何をしているのだぁーーーっ! 」


「 はっ! 」

「 閣下からの出撃命令を今か今かと待っております 」

「 ば、バカものぉーーーっ! 」


 エンリコ閣下の所には、連邦軍への救援要請は出されていなかった、手続き状、要請依頼を受け駆け付ける事になっている。

 領主からの依頼がないのに、連邦軍を動かす事はできない。


「 な、な、な、なんという事だぁ 」

「 私の権限でなんとかならぬのかぁ 」

「 連邦会議を開いて決議しないとぉ 」

「 領主たちは、都市スメデロボに出向いているのだぞぉーーーっ! 」


「 今すぐ! 都市スメデロボのバカ領主、ブラディン伯爵に連邦軍支援の要請を出させろぉーーーっ! 」


「 なんのためのムアール連邦軍なのか? 実績がどうしても必要なのだ! 」

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