第140話 魔女を休ませろ! 喚く冒険者

 今日はギルドに顔を出すつもりだったけれど、明日にしよう。


「 魔女様、若い女の子がズッート寝ていたら良くないですよ 」

「 部屋の掃除やシーツの交換をしますから、散歩でもして来てください 」

 女将さんがはいってきた。

「 はい、猛牛のミルクだよ 」

「 ありがとう 」


 猛牛のミルクを飲むと、背が高くなり出るところは出るという都市伝説がある、私は4年も飲み続けているが、今の所1㎜も変化なし、継続は力なり、あきらめないのよ。


 1階の食堂に行くと丁度マリカさんがやってきた。


「 魔女様、青い亀魚人と赤い亀魚人が絶滅の危機に、彼らから魔女様に緊急の救援依頼が入って来ました 」

「 青の亀魚人がサメ魚人の支援により都市スメデロボの冒険者ギルドにいます 」


「 はぁ~ 」青と赤とサメの魚人が出て来たけど意味不明。


 女将さんが降りて来た。

「 シーツも変えて、お布団もふかふかだよ 」


 にんまりと顔が緩む、足が自然に階段の方向に


「 夕方から寝ないでください 」

 マリカは私の腕をつかんでいる。


「 大変申し訳ありません、妖魔との闘いや魔法の研究で、大変お疲れだとは思いますが、どうかお付き合い下さい 」

「 まだ、ポチに抱き着いてないし 」

「 後にしてください 」

 マリカに引っ張れている。


 わざと言っているのだろうか、昨夜はぐっすり寝たし、朝からも寝ていたけどね。

 レディとしては、とってもナイーブな心の問題で、引きこもっていたいのよ。


 ダラムの冒険者ギルドに、ギルマスのチャロンポングさんから、都市スメデロボの冒険者ギルドからの情報について説明を受けている。


「 その多毛類っていうのは水中にいる虫で、普通は魚の餌なのですね 」

「 魚人族も好物だと聞いています 」


 エンジ村で巫女の真似事をさせられたとき、釣り道具と臭いのする小さな入れ物を渡された、その中に入っていた、ミミズに毛が生えたみたいなやつが、巨大化して人を襲う?


「 魔女様の魔法で状況がわかりますでしょうか 」

 私が離れた場所の事がわかるというのは、もう当たり前のようになってきてしまった。


「 風と水と大地に尋ねてみましょう 」適当な言葉でごまかす。


 宿に帰るとふかふかのお布団が待っているので寝てしまう、しかたなく、ギルドでいつも借りている研究室に入った。

 エンケドラスに抱き着きスリスリ、毛皮が気持ちいい。


「 シュミハザとりあえず、都市スメデロボ上空に移動して 」

 シュミハザが移動するまで、魔玉の解析しよ。


 一昨日の午後からズッート、宿でゴロゴロしていたので、寝ようと思えば寝られるけれど、眠たいわけではないので、深夜になっても解析を続けている。


 朝から働き詰めの、チャロンポングやマリカは、油断するとカクット首が落ちる、「 はっ、いかん、魔女様が頑張っておられるのに、寝るわけには。。。 」


「 マリカ、顔を洗ってくる 」

「 様子を探るのに、時間がかかっているようですね 」

「 あぁ、俺たちにできる事は無いが、せめてお付き合いしよう 」

「 そうですね、お茶の用意をします 」


 シュミハザは都市スメデロボ上空に移動に移動済み、一番近い漁村は。。。あっちね。


 コンコン ドアのノック

「 お茶をお持ちしました 」マリカが入ってきた。

「 まだ、いたの 」

「 魔女様にお仕事を依頼ました、私が先に帰れませんよ 」


「 なっ! 漁村が襲われているわ! 」

「 えっ! ギルマスを呼んできます 」


 ムカデの様な生き物、でも足の数がムカデどころではないほど生えている、それに青白く光っているし、一匹じゃない。


「 シュミハザ、ナノマシンの種類を解析 」

「 テトラタイプです 」


 頭だけではない、全身に寄生しているし、他の個体も同じ状況、増殖しているのかもしれない。


 何処の研究所が開発した、環境浄化用ナノマシンなのか知らないけれど、既存生命体に影響を与える、過去文明の負の遺産、私が処理しなければならないと思える。


「 漁村が襲われているだとぉーっ! 」

 ギルマスが入って来る。


「 急ぎ現場に向かいます 」

 エンケドラスに乗り、窓から空に舞い上がる。


「 い、いっちゃいました 」

「 わ、私は、どうすれば 」


 翌朝、ダラムの領主スッチン伯爵もギルドに珍しく顔を出していた。

 ダラムの民の顔色を窺い、引きこもり気味の領主である、本人は超真面目にダラムを良くようと取り組んでいるつもりなのだが、民に嫌われているのではと、ビビリで小心物である。


 疾風のダムロンが喚いている。

「 なんでも魔女に頼り過ぎじゃねぇのか! 」

「 ついこの前、妖魔と戦ったんだぞ、山脈が消し飛ぶような魔法を打ち合った後だぞ! 」

「 少しは休ませてやろうかと、思わないのかぁーーーっ! 」


「 いや、わたしは、その、都市スメデロボからの依頼でぇ、、、、 」

「 それが問題だって言ってんだ 」

「 魔女に相談する前に、本当に魔女じゃねえと対応できないのか、調べろよ! 」

「 いや、あの、その。。 」

「 それでもギルマスかぁーーーっ! 」 ダラム冒険者一同が叫ぶ。


「 都市スメデロボ近くの漁村に向かったんだよなあ、お前ら行くぞぉ 」

「 ぉおおーーーーっ! 」

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