第139話 破棄されたはずのナノマシン

 見渡す限り海原、そのような場所から、猛烈に泡が吹き上がり始めた、しばらくすると、地面がせりあがり、その台地から溶岩が流れ出ていた、海原に突然島が生まれた、溶岩が島にある巨大な割れ目から吹き上がる、ガスや硫黄、岩石、火山灰だけではなかった。

 地の底から、カプセルのような形をした人工物が地表に出て来た。


 そのカプセルは、溶岩の噴出する力により、空高く打ち上げられ、生まれたばかりの隆起した大地に落下した。


 波打ち際には、岩礁付近に生息する多毛類(ミミズに毛が生えたような生物)が生息していた。


 カプセルは酷く損傷、中身が波打ち際に流れ出る、キラキラと青い光を発するテトラタイプのナノマシンであった、普通ではナノサイズ、観えるはずがないのだが、カプセルから流れ出たのは周りがキラキラ光るほど多量であった。


 過去文明において脳に寄生し生物を狂暴化させることがわかり、破棄されたはずのナノマシン。

 何でも食べる雑食性多毛類はそれに食いついた。


 海底の泥の中に潜み、5本の触覚を出し、小魚などが触覚に触れると、飛び出し捕食、しだいに大きな獲物を捕食、巨大化異常進化を始めた。


 ピットケイアン島には、亀の遺伝子を持つ一般的に魚人に分類される集落が二つあった。

 外見は普通の人と変わりないが手足に水かきを持っていることから魚人に分類、背中の一部に亀のような甲羅がある人達である、同じ島にある二つの集落は、ものすごく中が悪い。


 ピットケイアン島南端に位置する、デュシー湾周辺に集落を持つ亀魚人は、体色が濃緑青色で大柄な体つきをしている。


 ピットケイアン島北端に位置する、オエノ湾周辺に集落を持つ亀魚人は、体色が赤っぽく小柄であった。


 島の魚人族達は、チッコイ青の魚人、小さい赤の魚人と呼び合い、出会うと男は喧嘩、女はにこやかに会話となる。


 赤の男魚人は、青の魚人より体が小さいのをものすごく気にしていて、コンプレックスを持っている、いっぽう青の男魚人は、赤の魚人より何が圧倒的にチッコイ事を物凄く気にしていた。


 赤の魚人は青の魚人をチッコイ魚人と呼び、青の魚人は赤の魚人を小さい魚人と呼ぶ、顔を合わせただけで喧嘩となる。


 赤の女魚人、青の女魚人のお乳については、まぁそれなり、乳首だけのボッチから巨乳まで、そろっていて大差なく、女魚人どうしは中が良かった。


 両方の亀魚人の共通点としては、水中、浜辺と二つの生活圏を持つため、水中活動の邪魔になる衣服は着用しない点にあった、つまり裸族でもあった。


 どうでもいいような事でいがみ合う、亀魚人の島が、餌として食べていた多毛類が超巨大化した魔物に襲われ、ピットケイアン島の2種族の亀魚人は一瞬で絶滅危惧種状態に追い込まれてしまった。


 亀魚人の生存の望みをかけて島から脱出、ムアール大陸に泳ぎついた時には、海の魔物におそわれるなどして、島で生活していた2000人近い亀魚人は30数人にまで数を減らしていた。


 2種の亀魚人達は、城壁都市ダラムを目指そうとしている、ピットケイアン島にまで、漆黒の魔女の噂は届いていたのだ。


 交易の為に、ピットケイアン島に出入りする商船からである、漆黒の魔女のスフィアまで入手していた。


 2種族は、助け合えば良いのに、それぞれ別々に行動、海原から明かりを頼りに上陸、水辺にいるときは、素早く行動できていたが、しだいに体が渇いていくと、動きが鈍重に、とうとう干からびかけていた。


 浜辺に向かう漁師たちに発見された、そのまま浜辺で待つべきであった気がする。


 青の亀魚人達は惨状を泣きながら訴えた、赤の亀魚人達は、干からびて朽ちる前に海辺に引き返し、どうやって城壁都市ダラムへ行くのか話し合いを始めた。


「 漆黒の魔女様なら、助けて下さるに違いない 」

「 わしらに任せよ 」

 青の亀魚人達を助けた漁師たちは、人であるが、サメ肌をしたサメ魚人族だった。


 サメ魚人は、魚を運ぶ荷馬車に亀魚人を乗せ、近隣の都市スメデロボの冒険者ギルドまで運んだ。


 城壁都市ダラムに戻ってきて定宿でまったりとした時間を過ごしている。

 夜の砂亭、私の借りている部屋で情報誌に目を通しながら、ちょっと冷や汗。


 水の都ベネシスとハプスランド国都市アルベニアの間には、プラニアナ山脈がり関所を通る街道以外は、魔物の住む山越え、容易に行き来することは不可能な地形だったらしい。


 そのプラニアナ山脈、10数個の山々が連なる山脈が残骸を残しほぼ無くなっていると書いてあるのだ。

 山の一つや二つは消し飛んだかもしれないが、山脈は私じゃない気がする。


「 シュミハザ、妖魔と戦う前後のプラニア山脈の映像ある? 」

「 なぁっ! 」


「 きっと私が知らない間に妖魔が壊したんだわ 」


「 私の妖魔への攻撃でこのように変化しました 」

「 シュミハザ! それを言ってはダメだからね 」


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 新しい話です、釣りに行き、釣り針に餌のゴカイを付けている時、プチっと汁が飛んで目に入りました、服の袖でこすったら、眼が痛くなり眼科に、傷が入っていました。

 餌のゴカイは何も悪くありませんが、なんとなくゴカイが怪物になる話を書いています。

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