第137話 女のロマン 46cm 砲

 次なる手を考えているわけでもなく、妖魔ラザリズルはなんとなく、73階層のダンジョンコアと一緒にいた。


 揺れの原因を確認、ダンジョンの上部が吹き飛んでいた。

 30年近くかかり、都市アルベニアに向けて伸ばした洞窟も吹き飛んでしまっている。

 攻撃を受けたのか。

 わがはいの物に手を出すとは、思い知らせてやろう。


 私達は地下道から地上に這い上がった、森の奥のほうから黒煙が空まで伸びている。

 ダムロンが喚く。

「 あれ、おまえだろう、ダンジョンを吹き飛ばしたのか 」

「 失礼な! 」

「 確認してから言ってよね 」


 シュミハザに、アルベニアダンジョンの状況確認を指示。


「 10階層から上部は吹き飛び、13階層あたりまでが露出している、ちょっとしか壊してないし 」

 73階層もあるのだ、ほとんど壊れてない。


「 あきれたような顔しないで! 」


「 風と大地にダンジョンの様子を聞いたら、10階層より上が吹き飛んだだけよ 」

「 まだ壊してないから、これから壊すけど 」


 妖魔ラザリズルはダンジョンの外に出ようとして手間取っていた。

 上部の衝撃に驚いた魔物は地下に大移動、ダンジョンを破壊せずに外に出ようとしているため、狭い洞窟の中で、襲い掛かってくる魔物と遭遇。


「 道を開けろーーっ! 」

「 えぇーーーぃ、邪魔だあぁ、きりがないわぁーーっ! 」


 結局、ダンジョンの外に出るのは、魔獣が落ち着いてからだ。

 最下層に引き返した。

「 いまいましい、邪魔をしおってぇ 」


 魔女の一行は、地面に空いた大穴を見下ろしていた。

 たった10層とはいえ、上からだと底がみえないほど深い穴があいている。


 シュミハザの調査では、14階層から13階層に上がる穴は熱により溶け落ち出口はふさがってしまっていて、魔物は出てこられない状態に。

 しかも下層のほうに移動している。


 私は始めから、ちまちま1層からダンジョンを攻略していく気なんて全くない、地上攻撃型軍事衛星シュミハザがあるのだ、一気にダンジョン事吹き飛ばす、面倒事は解決。


 都市アルベニアにチョッカイを出していたダンジョンが消えれば問題解決、ダンジョンで稼いで冒険者や街の産業には影響が出るかもしれないが、私の知った事ではない。


「 皆さん離れて 」

「 念のために結界を張って下さい 」


 カックイク 優雅に、お洒落に、呪文を唱えるのよ。

「 Шумихаза прекомерна паљба из електронског топа 」

( シュミハザ、超化電子砲 発射 )


 ダンジョン上空に巨大な魔法陣が浮かび上がる、魔法陣から光の帯が伸びると、大爆発した。


 ダンジョン最深部73層で、ダンジョンコアをツンツンしながら暇つぶしをしていた、妖魔ラザリズルは、生き埋めになりかけていた。

 64階層までが吹き飛んだ。

 次の攻撃で摘んでしまう。


 妖魔は、死に物狂いで73階層から上への洞窟の天井をぶち壊し、轟音と爆炎と大きな石が降って来る中、外に飛び出る。


 黒い服に包まれた子供、「 きさまかぁ! ダンジョンを破壊したのは! 」

 そいつは、こくりとうなずいた。


「 許さんぞぉーーーつ! 」

「 くらえぇーーっ! 」


 魔素が爆風のように押し寄せて来る、魔法と違い、何かと融合などして炎などに変化させたのではなく、ナノマシンの集合体による物理攻撃。


 パトンタニ大森林の封印の洞窟で得た知識、魔素の吸収と反射を使った防壁を周りに、あっ、呪文とか考えてなかった。

 こんな時に私は余計な事を考えているのだろう。


 振り向くと、後ろ側にあった森がなくなっている。


 妖魔が目の前に、「 シュミハザ 超過電子砲よ! 」

「 Шумихаза прекомерна паљба из електронског топа 」

( シュミハザ、超化電子砲 発射 )妖魔に直撃。


 自然を破壊するような奴は、許さない!


 私までも爆風で吹き飛ばされてしまった。

 シュミハザからは、妖魔の様子を的確に送ってくれている 」


 なんとなくだが大きな山があったようなあたりに巨大なクレータが、妖魔は人型の体系を維持しているが、巨大なクレータの底でピクピク痙攣してる。


 物理攻撃に変更しよう。

 私はシュミハザのデータを分析していて、戦艦の砲塔のような構造部分がある事に気付いた、それは、物理攻撃ができる隠し武器だった。

 今こそつかってやる。


「 シュミハザ 主砲発射準備、46cm タングステン鋼弾装填 」


 極めつけ女のロマン、46cm 砲、 伝説の大戦艦ヤマトの主砲と同じなのだ、伝説の戦艦なので実在したかどうかは定かではないが、レディである私は、46cm鉄鋼弾で、戦艦同士が砲撃戦などやっている様子を想像するだけで、もうたまらんわけだ、シュミハザは、伝説と同じサイズの砲塔を備えている。

 シュミハザを設計した科学者はきっととってもロマンチックなレディだったのだろう。


 巨大戦艦が海を支配していた妄想で、お母様と盛り上がった、お父様は引いていた、女のロマンは男にはわからないのかもしれない。


 一度は使ってみたかった、速度と重力加速による弾頭の物理的攻撃。


 重さ2トンのタングステン鋼の塊を、衛星軌道から地表に打ち込む、宇宙から地上に向けて放たれたロンギヌスの矢を想像してしまう、砲弾が超加速、物理的な破壊力は想像を絶する。

「 Пуцање из главног пиштоља Шмихаза 」

( シュミハザ 主砲発射 )


 大地震と爆炎が発生


 命中を確認、妖魔の体は飛び散って跡形もなくなった。

 妖魔から放出される濃厚な魔素までも、吹き飛んで散ってしまった。


 そろそ3時間くらいたつのに、地震と土煙で視界が戻ってこない。

 まぁ、まったりと休憩しているので、いいけど。

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