第125話 レッドドラゴンを捕まえる

「 ねぇ、私達だけで、こそっと子供を治療しても、同じことをしようとする人間が出てくるんじゃない 」


 スワニーが肘で、ツンツン。

「 何? 」

「 漆黒の魔女専属の、新聞社があるじゃない 」

「 はぁ~っ 」

「 専属じゃないし、私とは関係ないから 」


 ノミジェイが、しっかり服を着て、部屋に入ってきた。

「 最初から、そうしろーーっ! 」

「 エレナ落ち着いて 」

「 眼が腐るところだったわ 」


「 ノミジェイも隅にうずくまるんじゃなぃ 」


「 ノミジェイ、毎日魔法新聞の人知っている 」

 知っていた。


「 嘘だろう、信じられない、男なのに、役にたつとは。。。 」

「 偉そうに、胸と腰をつきだすなぁーーーっ! 」


 魔獣ソーケンと私との闘いをスフィアに収めるよう依頼を受けたときに、知り合っていた。


「 連れてきてくれない 」

 ノミジェイは再び出て行った。


 毎日魔法新聞の女性カメラマン ラジョー & 記者

 私達の前で、大号泣、顔面崩壊しまくり、嬉し泣きらしい。

 私にあこがれて、私だけをカメラマンとして追っかけていて、私の為なら命捧げます。

 おもぉーーーっ なんて重たい女なの。


 ラマンダベル山の守護者である、レッドドラゴン・ファフニールの2匹の子供治療作戦は、こそっと少人数ではなく、ダラムの冒険者と聖魔教会からの参加者も加わり、ちょっとしたイベントに成ってしまった。


 毎日魔法新聞は全国紙である、ムアール連邦に、ファフニールの2匹の子供に何があったか知れ渡っている。


 聖魔教会から、聖女スワニー司祭を筆頭として、ヒーラーとしての力がある司祭7人も参加、ヒーラー 1人に5人のシスター騎士が護衛に付く、大人数となってしまった。


 ダラム冒険者達とダラム軍とで60人ほど、力仕事と雑用を担当する、領主スッチン伯爵とギルマス、チャロンポングの二人に、何かさせてほしい、何でもすると、泣いて頼まれてしまった。


 こき使ってやるつもりだ。

 毎日魔法新聞から、カメラマン3人とスタッフ5人。

 出発前段階から、増ページまでして、情報発信している。


 キャラバン隊を組み、全員ダンドラに乗り出発

 大人数での移動、女も男も、なんのためらいもなく、道端でばら撒くし、野営では、裸になって体を拭く、恥じらいがないのか!

 私が恥ずかしくて、どうしていいのかわからない。


「 出陣してくる 」スワニーは迷彩服に着替え、頭に草をのせ、スケッチブックを持って闇夜に消えた。

 シスター騎士まで引き連れて行った、聖魔教会って大丈夫?


 16日もかけて、ラマンダベル街道に差し掛かった。

 空が割れるような雄叫び、雲の中から、赤いドラゴンが急降下してくる。

 炎のブレスを吐く前に、対応しなくてはならない。

 ファフニールの動きは、シュミハザが常に監視、私の頭の中に送ってきている。


「 来たわ 」

 エンケドラスに背にのっていたので、そのまま空に舞い上がる。

 急降下してくる、ファフニールに向かって上昇。

 口から炎が漏れている、ブレスを吐こうとしている。


 杖を手に、カックイク魔法の呪文を唱える。

「 Покоравам ти се, магична есенција, и везујем га оковима гравитације 」

( 我従えし魔素よ 彼(か)の者に重力の束縛を枷(かせ) )


 急降下の速度が一気に加速、メッチャ慌てている、ブレスどころではないような。

 口から煙を出しながら、上昇しようと、翼を必死にパタパタ。

 だいたい体重が10倍ほどにはなっているはず。


「 もう飛べないよ 」


 ファフニールは上昇しようとしているが、落下速度はさらに加速。

 このまま、地面に激突したら、潰れてしまうかも。

 体重を3倍くらいにまで軽減。


「 ファフニールが落ちて来るから 」

「 準備は! 」

「 結界の準備よし! 」

「 束縛の準備よし! 」

「 眠り薬準備よし! 」

「 心の準備よし! 」


「 うわぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ! 」


 ファフニールの落下地点に集まった関係者達、ファフニールが必死で羽ばたくから、風でふきとばされてしまった。

 。。。。。。。


 いきなり作戦失敗したかも


 ズドォーーーーーン ものすごい音と土煙。

 上空からだと何も見えなくなった。


「 シュミハザ、地表の状態を映して 」


 ラマンダベル街道沿いに、巨大なクレータ、中央に動かないファフニール。


「 死んだの? 」

「 生命反応があります 」ほっとした。


「 大丈夫? 」空の上から声をかける。

 封印の魔女は自分の結界で爆風対策、魔女エレナは植物の弦で大木に体を縛り付け、飛ばされていない。

 他の人は、いないみたい。


 ファフニールが起きる前に、植物の弦で、簀巻きにして、封印の魔女の結界の中に、閉じ込めた。


「 私、探してくる 」

 木に引っかかって痙攣、地面に転がって痙攣、人はね。


「 あったわ 」眠り薬を詰め込んだ樽発見。


 中身が詰まった、重たい樽を、女の子に運ばせるなんて、ダラム軍と冒険者は何をしに来たの。


 まぁ、サイコキネシスで運ぶのだけれど。


「 眠り薬持ってきたわ 」


 封印の魔女と魔女エレナは、気絶したファフニールの顔近くで佇んでいた。


「 どうやって、眠り薬を飲ませる? 」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る