第111話 赤土採掘場で快感

 午前 10:30 黒ずくめの少女と純白の魔物が入ってきた。


「 魔女様、こいつらの話しをきいてくれないか 」

「 お久しぶりです、シンディさん 」


「 んっ 」ドロ人形が3つ。

 お辞儀をした、乾燥して白くなった土が、ボロボロ周りに落ちる。


「 話の前に、洗ってきて 」


 私がギルドで借りている部屋

 目の前には、顔中髭だらけ、小柄で筋肉太りした全裸のおっさんが3人もたっている。


 わたしったら、思わず何を比べてしまった。

 観慣れすぎて、レディなのに、観察する余裕があるのよ。


 ドワーフ族、背が低い、筋肉太りした体系ではあるが、そのような人はそこらじゅうにいたので、まあ普通だ。


 3人のドワーフは、言葉があふれるように話を始めた。


「 その前に、服着て! 」


 服は洗わなかったようで、服から、土埃が舞い上がり、土がボタボタおちる。

 裸のままで話を聞くべきだった気がしないでもない。


 誰も彼らの話を聞こうとしなかったようだ、私もシンディさんの頼みだったから、普通近づかない。


 必死であることが伝わってきた、このままでは、自分たちの町が消えてしまう、赤土の採掘ができなければ、多くの仲間が路頭に迷う。


 薄汚れドロドロの服を着たドワーフが、ソリッド赤土採掘場の代表者だと知った。

 スワトッドンという名前。


「 金は無い!」


 そのかわり、採掘現場から出てきた、綺麗な石をくれるという、身なりから想像できる、先に現場の状況を確認すると答えた。


 およその場所を地図で確認、地図には乗っていなかった。


 シュミハザに指示、場所は直ぐにわかった、大きな溝が地上絵のように大地に刻まれていたからだ。


 それから3週間後、私はソリッド赤土採掘場にいた、スワトッドンさんが戻ってくるまで待つ必要があったからだ、3週間かけ、シュミハザにより状況を詳しく調査、使われなくなった坑道や、採掘現場のすき間、などが、魔蟲の産卵場となっていた。


 ドワーフ族だけの都市、よそ者は簡単には入れない、どちらかというと入りたくない。


 レディとして、体にドロをねしつける人達と近づきたくない、臭くないし、加齢臭もしないけれど、土のにおいがする。


 状況説明、採掘現場を縄張りとしてる魔蟲を一掃し、卵が残っているので、燃やすと伝えた、幸い旧採掘場付近からは、魔蟲の影響もあり、人は避難済みであった。


 多量の魔蟲の撲滅方法を考えた。

 シュミハザのサテライトビームで、採掘場一帯に生息している魔蟲を一掃。

 今回はそれだけでは、不十分。

 多量の卵が植え付けられているからだ。


 リンドウウルムから得たファイアーブレス、ここなら遠慮なくぶっ放せる、威力があり過ぎて使う機会がほとんどなかった。

「 えへへへへ、おもいっきり、やってやる 」


 ちゃんと呪文を唱えて決めポーズ、魔法はお洒落なのよ、色々考えてきている。


 朝から5回、人がいないか確認した、私が立っているのは、一番新しい採掘現場の端にある高見台、ここから古い採掘場に向かって魔法を放つ。


 私の後ろには、何万人ものドワーフだかりができている。


 右手に杖を、くるくる回しながら呪文を唱える。

 私の動きに合わせ、シュミハザがレーザーアートで空に巨大な魔法陣を描いている、演出もバッチシ。


「 Шумихаза Нека светлосна киша пада са неба・Сателитски сноп 」

( シュミハザ 空から光の雨を降らせなさい・サテライトビーム )


 採掘場全域に光の雨( レーザー光線 )が降り注ぐ。

「 ぉおおっおおおおーーーーーーっ! 」


 私の後ろから、ドワーフ達のどよめきが、体を揺らすほどの震動で伝わってきた。


 続いて、杖を構える。頭の中にはリンドウウルムのファイアーブレスの魔法方程式が浮かんでいる。


「 О магичне моћи које ме прате, скупите се овде, скупите, спалите моје непријатеље пламеном !」

( 我従えし魔素よ ここに集まれ、集え、我が敵を炎で焼き尽くせ )


 杖の先端から、浮かび上がる巨大な魔法陣、ゴーーーッ! て炎を噴き出した。

「 快感 ! 」なんてね。


「 あれ? 」赤土採掘場が炎の海状態。

「 えへへへへへへ、 知らないっと 」他人のフリしよう。


「 火、消えるのかしら 」 ちょっと不安。 なんとなくだけど3日ほど燃え続けるような気がする。


 後ろを振り向くと、何十万人ものドワーフさんが、呆けていた。

 知らんぷりできそうにない。

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