第112話 ダイアモンドダスト

 漆黒の魔女専門誌となり果てたと、囁かれている全国版情報紙、毎日魔法新聞がまたまた書き立てる、漆黒の魔女様、ソリッド赤土採掘場の壊滅的危機を救うために、乗り込む。


 城壁都市ダラム、交易都市バッタンバン、商業都市バンカディ、都市アソック、都市プロンポン、ドワーフ達は魔蟲多量発生の危機を訴えたが、何処の都市も取り合おうさえしなかった、ムアール大陸は、手を取り合い人の領域を確保するというのは、建前だけ!


 ドワーフの都市が魔蟲に襲われ壊滅、赤煉瓦が供給ができなくなる、事の重大についても、毎日魔法新聞は取り上げている。


 毎日魔法新聞、漆黒の魔女の周りには、大人数のパパラッチを配置、常に同行をサーチしている。

 泥人形が接触、彼らの記者魂は特ダネを予見し、泥に人形を付けまわした成果である。


 そして、漆黒の魔女様の大魔法、光の雨のにより、成虫となった魔蟲の処理後、炎のブレスにて卵を処理、三日三晩燃え続けすべての喪を焼き尽くす炎。


 ダラムの領主スッチン伯爵は、吠えていた

「 知らんぞ! 全く知らん、誰が門前払いしたぁーーっ! 」


 3日間燃え続けた炎は、消えた、しかし、強烈な予熱、近づく事さえできなくなっていた。

 やり過ぎた感はんぱねぇ、こうなったら、冷やすしかない。


 これまでの研究から、ある部分を組みかえれば、炎のブレスが氷のブレスになる事に気付いている、魔法としては完成しているがまだ試してない、ぶっつけ本番、やるしかない。


 私は再び、新しい採掘現場にある、見張台から、古い採掘場を見下ろしている。


 続々と集まってくる人々。 燃え盛る炎をみようと、ドワーフの都市なのに、大陸中から人が押し寄せてきている、この人達暇なの?


「 Покорна сам, магична суштина, замрзни све!」

( 我従えし魔素よ すべての物を氷つかせよ )


 なんか、バッチリ決まった。


 キラキラとした、氷の結晶が、強烈な予熱を発している、採掘場を覆いつくしていく。

 発動した私でさえ、なんて綺麗なのだろうって思ってしまった。


 半日経過、寒い、町の中5分の4が氷ついた世界、ろくな服を持ってないし、着てない人達は凍えだしている。


 なんとかしなくては、焦っている、これまでにないパターンである、魔蟲の産卵場、卵は焼き尽くした、余熱で近づけない、凍りつかせた、気温が一気に下がってしまった。


 溶かすのに、炎を使ったら、余熱で近づけなくなる。


 どうしようか悩んでいると、雨が降りだす、なんかこれで、大丈夫なような気がする。

 行き当たりばったりだけど、美少女は許されるのよ、と勝手に結論。


「 漆黒の魔女様は、天候まで操るのかぁ 」

 騒いでいる人がいるようだ、あやつってないけれど、知らないふり。


 交易都市バッタンバン領主である、ワチャラパン伯爵は、全く覚えすらないが、門兵が助けを求めて来たドワーフを門前払いしてしまった責任を痛感、大変な事態を引き起こしかけたということもあり、ソリッド赤土採掘場にやってきていた。

 建前は、本音は


「 漆黒の魔女に嫌われたらどうしよう。。。。 」


 ダラム領主スッチンと同じように、小心者かもしれない。


 寝ずの強行でヘトヘト、燃え盛る炎を観ることはできなかったが、漆黒の魔女がダイアモンド・ダストの魔法を発動する瞬間から、氷の結晶が採掘場を覆いつくしていく様子を自分の眼で観ることができた。


「 なんて、美しく危険な魔法なのだ、まさに漆黒の魔女に相応しい大魔法ではないか 」 自分の世界にどっぷり浸かっていた。

「 これが、本物の魔法なのかぁ、くふふふふ、生で見た事を自慢できる 」


 雨が本格的に振りだす、地面に残っていた余熱と雨で、白く凍り付いた大地から、赤土が姿を現しだしていた。


「 窪み、穴を放置、旧採掘現場に人は近づかない、魔蟲が卵を産みやすい場所を提供していたことになる、整地、穴はふさぐ、定期的な観回りが必要であると説明 」


 私の話に聞き入るドワーフ族の人達。


 お礼だと言って、採掘場から出てきた、綺麗な石の塊をどっさりもらった、ルビー、サファイア、エメラルド、アメジスト、メノウ、水晶などの原石、たまにはこれもいいかも。


 城壁都市ダラムに戻ってくると、色々な方から、何故かお礼を言われ、ダラムの領主であるスッチン伯爵の非難が始まる。


 串刺しの魔女にゴミ、クズ扱いされた、まったくわかってない、身なりが汚いだけで、ゴミ、クズ扱い、話しを聞こうともしないなんて、程度は違えど同じ人種であるとか。


 ダラム領主の館。

「 どうしてくれるんだぁーーっ! 身に覚えがないのに、民衆の信用を無くしてしまった 」


「 身なりが汚くても、漆黒の魔女には関係なかった、魔法が使えなくても関係ないのと同じ 」


「 お前らはぁ~!」

「 俺は、そんなに、横暴な男にみえるのかぁ~っ! 」


 タイミング良く、側近達が頷いたので、自室に引きこもってしまった。

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