第106話 魔女エレナ・ムンベルク

 ダラムの領主スッチン伯爵は、交易都市バッタンバンの領主ワチャラパン伯爵へ、サイクロプス盗伐の詳細と称して、手紙とスフィアを送っていた、自慢したかっただけだ。


 フロスガルドで、死霊の魔法使いを消滅させた大魔法、漆黒の魔女様が、流れるように杖をふり、呪文を唱え、サイクロプスの頭上に魔法陣が現れ、杖を振り下ろすと同時に、光の柱が魔法陣から現れ、サイクロプスが消滅。


 魔法大家マジョレーゼ家、5000年にも及ぶ魔法の研究と正統継承者である、漆黒の魔女が、大魔法を発動される様子を、この目でしかと見た。


( スフィアではなく、自分の眼に焼き付けた )


 交易都市バッタンバンの領主、ワチャラパン伯爵、地団駄、血の涙を流し


「 俺は見逃したぁーーーっ! 見ていない無い! ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう 」

「 ダラムだけズッコーーィ 」


 こうなったら、スッチンに止めを刺すために、取っておいた、マーメードドレスを着て、俺と並んでいる写真を送り付けるしかない、さっそく準備をしろ、手紙にはこうつけくわえろ、俺が送ったドレスで、ツーショット。


 ダラム領主スッチンは、騎士、剣士の前で、ダラムのギルドマスター チャロンポングは冒険者達を集め、それぞれ同じような内容の演説をぶちかましていた。


 都市ダラムには、漆黒の魔女様、封印の魔女様、Sランクの魔獣羅王が、おられる、この状況は世界一安全であるとも言える、ただし、魔女様達にちょっかいを出さなければの前提条件がある、馬鹿なやつは、何をするのかわからない、不審者を観たらすぐに、報告と警戒に当たれ。


 演説にのってきたところで、それを遮られる、不満か顔に浮き上がる。


「 緊急事態で御座います、魔女エレナ・ムンベルク様がダラムの城門をさきほど通られました 」


「 領主様死んだふりしてもだめです。」


「 どうしてだ、都市ダラムは、最端の都市だぞ、魔獣の脅威からイバーリスを守護する、言わばカナメ、冒険者の都市だ、何故に魔女が3人もいるのだ! 」


 同時刻同じタイミングで、連絡を受けた、ギルマス チャロンポング冷や汗ダラダラ、彼は元Aランクの依頼をこなす腕聴き冒険者だった、心が折れたのは、魔女とかかわったからという噂がある、真相を本人は語った事はない。


 ようやく漆黒の魔女と封印の魔女は大丈夫になってきたところに、第3の魔女の出現、


「 あわ、あわ、あわ 」うろたえだした。


 ギルドの入り口のドアが開く、入ってきたのは、漆黒の魔女、封印の魔女、魔獣羅王。

「 ぎやーーーーっ! 」チャロンポングは悲鳴を上げ、マリカの太ももにしがみつく。

 二人はそのまま、ギルドの貸し研究室へ。


「 これ、駆除してくださらない 」男冒険者達、美人受付嬢の足にしがみつく男の駆除に乗りだす。


 しっかりと駆除され、隅の床で倒れている男がいた。


 カチャ、 ギルドのドアが開き、入ってきたのは、魔女エレナ・ムンベルクだった。


「ここの、ギルマスは 」


 一斉に震える指が、床に倒れている男を指す。


 魔女エレナは太ももの傷も治ったようで、普通にあるいている。


 右手に杖、左手は、ペチペチと杖を叩くように音をたてながら歩く。


 倒れていた男は、ヒー、ヒー もともと隅で倒れていたので、壁に背をひっつけて、痙攣したように震えている。


「 貴男がギルマス 」返事をする代わりに、漏らした。


「 ウ、ウ、受けつけのマリカと申します、ギルマスに変わって要件を伺います 」


「 魔女エレナが来ていると、漆黒の魔女様にお取次下さい、くれぐれも失礼のないように 」


 私はギルドの貸し研究室で、羊皮紙に書いた、魔法について封印の魔女に説明をしていた。


 ビクンってきた。 エンケドラスも耳をピクピクさせている。


 町中で、凄い魔力を感じた、直ぐ近く。


「 みてきます。 」


 階段を下りる、 魔女エレナがいた。


「 ご無沙汰しております、漆黒の魔女様 」エレナは片膝を付き、深々とお辞儀をする。


 様子を見に降りてきた、封印の魔女と3人で、ギルドの食堂に。


 いつもガヤガヤしている冒険者達は、壁や床のモニュメントに変身。


 封印の魔女をエレナに紹介し、世間話というか、普通の井戸端会議。


 しきりにエレナは、こんなふうに気楽にお話ができるなんてと、お気に入りの様子、ここまで出向いてきた価値は十分あったとか。


 この人も、魔女という肩書、いつも一人なのかもしれない。


 エレナは 50人ほどの、騎士をひきつれてきていた、宿はまだ手配していないとか。


 それなら、今日は私達3人、夜の砂亭、騎士さん達は適当に近くの宿にということになる。

 エレナは、3人で一緒に寝る? て言った私の言葉に涙している。


「 そうそう、ついでにこの 2人をつれてきたの 」指を鳴らす。


 頭からフード付きのローブを被った 2人が進みでる、ローブを脱ぐと土下座した。


 もとアウンサンガ教会の聖天使、もとオルンサンガ修道院の聖女よ。


「 漆黒の魔女様のお言葉、自分の足で生きることにしました、僕はダラムで冒険者になります、そしていつか漆黒の魔女様のお傍に 」


 顔を上げ立ち上がる、都市ダラムにすべての男の敵が現れた。


「 ひえーーっ! 」モニュメントに変身していた女冒険者、ギルドの女職員、我を忘れてみとれる。


「 わたくしも、自分の足で生きることにしました、ダラムギルドの受け着けとして、漆黒の魔女様のお傍で頑張ります 」


 すくりと立ち上がる。


 全世界の女の敵、降臨。


 男冒険者、我を忘れて大騒ぎ。


 エレナが、下半身ベチョベチョにした男を観る


「 宜しく 」


 首が折れるのではないかというほど、縦に振り続ける男。

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