第103話 ダラムを出て行ったという噂

 都市ダラムの領主スッチンは喚いていた、「 何て卑怯な奴らだ! 」


「 漆黒の魔女様に手をだせないから、か弱い女性を人質にして、ちょっかいを出すとは、許せん! 」


「 冒険者達も、怒り狂って肉片に代えてしまいました 」


「 問題は、風の渚が耳にした話ですよ 」


「 ダラムに住む、女、子供を人質にして、漆黒の魔女様に取り入ろうとする奴が出ないとも限りません、それを気にして、ダラムから出て行かれるかも知れないという噂が 」


「 なにーーーっ! 」


「 そんなことはさせん! だんじでさせん! 」


 朝 10:00 に夜の砂亭に、スッチン伯爵の使いで顔を出した、騎士長プラチャコーン、蒼白になり棒立ち。


「 夜明けと同時に、出て行った。。。。 」


「 ちょっと! 」


 もういない。


 報告を聞いた、スッチン伯爵

「 なんてことだ! どうしてそんな奴らをダラムにいれたあーーっ! 」


 領主の館に呼び出された、ギルマス、チャロンポング蒼白。


 ギルドに全力疾走で、戻ってきた

「 マリカ、マリカはいるか! 」


 他の受け付け

「 マリカはあんなことがあったので、しばらく休むよう、ギルマスが指示されましたけど 」


「 風の渚だ! 風の渚を呼んで来い! 」


 冒険者パーティ風の渚が呼び出される、個室で話すとかすればいいのに、そこまで考えている余裕なし。


「 漆黒の魔女様が、今朝夜明けとともに、ダラムを出られた、何処に行ったか知っているか! 」


 ダラムギルド騒然!


 酒場では、冒険者達、酒を飲みながら号泣、「 なぜだーーーっ! 」


「 俺達が弱すぎるからかぁーーっ! 漆黒の魔女様がいると俺達に迷惑がかかる、そんなわけないだろうーーっ! 」


 泣きながら酒をあおる。


 大物の討伐を済ませ、生きようと、ギルドに戻ってきた疾風のダムロン


「 しばらく、仕事は無し、デートだデート 」緩み斬った顔をして、ギルドに顔を出す。


 事情を聞いて、大絶叫 「 何をやっていた! お前たちは! ぜんぶおしつけたのかーーっ! 」


「 ダムロンさん どうしたらいいんですか 」ダムロンすでにオロオロ、涙ボロボロ、使い物にならない。


 そろそろ、戻ってくるはずのダムロン目当て、聖魔協会の司祭室で、余裕の顔で待っているつもりだったが、昨日戻っている予定なのに、顔を見せない男。


 怪我でもしたのだろうか、心配でどうにも我慢できずに、司祭スワニーはギルドに顔を出す。


「 なにこれ? 」


 泣きながら酔いつぶれている冒険者集団。


 目当ての男は、床に寝そべり、女々しく泣いていた。


 マリカも少し遅れてギルドに、唖然。


「 俺のハニーちゃんが! 俺のハニーちゃんが 」錯乱して泣き喚いている冒険者もいる。

 ほとんど男。


 スワニーは何があったのか、優しく聞き出す、聞いているうちに、腹が立ってきた。


 パチーン 頬を平手打ちスイング、痛快な音が響く。


 スワニー「 お前ら! 漆黒の魔女の何を観てきた、舐めたらあかんどーーっ! 」


「 都市ダラムの人間全部を人質にして、誰かを殺せと迫ったところで、その場で断るわよ 」


「 冷たいとか、冷酷とかじゃなくて、覚悟が違うのよ! 」


「 人は力を持てば使わずには要られない、人間の性、ちょっと力が強い、腕が立つ、多くの部下がいる、それだけでいい気になって、自分はこいつらよりエライって横柄な振る舞いをするお前らとは、違うのよ! 」


 マリカが横から口を挟む。


「 助けてもらった私が言うのも変だけど、漆黒の魔女様は真っ先に、取引を断った。彼女はね、お金なんてどうでもいいのよ、Sランクの依頼もすべてギルドを通して受ける、その理由はね、私には価格の妥当性が判断できないから、適正な価格で仕事をしたい そう言ったのよ 」


「 自分の価値を安く売る事もしなければ、ぼろ儲けしようともしない、力を使うにあたり、第3者に評価させ仕事を受ける 」


「 力を持つ者が、それを増長しないよう彼女が決めた事 」


 スワニー「 ダラムの人間が、自分が弱いから、町を出て行った、情けない事言ってんじゃないわよ 」


「 信念を貫いて生きている人間が、その程度の事で、曲げるわけが無いでしょ、いつもの事フラット出て行ってフラット戻ってくる 」


「 何をビビッテいるのやら 」


「 それを、泣いて酒でごまかす、お前ら一辺死んでしまえーーーっ! 」


 スワニーは仁王立ちして、涙、鼻水、涎でボロボロの顔をした、酔いどれ男を見下ろす。


「 とんだ、気の迷いだったわ 」


 クルット後ろを向き、出て行った。


「 スワニー、スワニー 捨てないでくれーーーっ! 」

 疾風のダムロン 立ち直れるのだろうか。


 実はスワニー、漆黒の魔女が何処に行ったのか知っていた、最愛の恋人ダムロンが討伐に出ているため、彼の無事を夜を徹して祈り、一息つき、夜明け前、外の空気を吸いに、漆黒の魔女に合っていた。


「 封印の魔女様の所に行って来る、今からポチを預けにいくの 」と言っていた。

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