第101話 魔女を恨んでいる冒険者

「 貴様―――っ! 俺達ですら、声さえかけれないのに、何をしたーー! 」


 呆けたお新人、わけがわからずうろたえ中。


 怯えて言語障害それでも必死に説明、女の子がBランクの依頼をみていたので、その依頼ではなく、Gランクを進めようとしたのですが、可愛いくて、言葉が。


 ドンドン集まって来る冒険者


「 こ、こ、声をかけたーーーーっ! 」


 私って、見た目は小さな女の子、だった事を思い出す、新人さんだから勘違いしたんだ。


「 誰の許可なく、漆黒の魔女様に話しかけてんだーーーっ! 」


「 んっ 」


「 ここに疾風のダムロンさんがいたら、今頃首と胴がはなれているぞ! 」


「 お、おれなんか、 いつもこの時間に来て、もうすぐ2年、未だに口聞いてないんだぞーーっ! 」


「 全くこれだけから男は 」


「 耳の穴かっぽじってよく聞きな、あんたらが声をかけたのは、イバーリス界最強、漆黒の魔女様だ 」


「 明日がくるのかなぁ 」


「 そろそろ体が溶け出すのかなぁ 」


「 指が腐ってきていんじゃないかい 」


 黙って聞いていたら、化け物扱いされているような。


 新人冒険者達、マジ泣き、この世界人、男も女も涙もろい。


 依頼書が束になって重なっている、ランラビット討伐、1匹金貨300枚、条件、体事持ち帰る事、依頼主は、焼き肉専門店金龍。


 お肉が食べたくなってきた。


 この世界には、時間軸が少し違う所に住まう魔物がいる、ランラビットである、加速の世界で生きている、その肉は、珍味、一度食べたら忘れられないほど美味しい。


 騒ぎはまだつづいているが、ほっておくことに、受けつけに依頼書を持っていく。


 樽を作っている店に向かっていたのだが、よく考えると水は、小さな注ぎ口からでも入れられるけど、ランラビットは入らない、一瞬棺桶が思い浮かんだが、そんなものを持ち歩いたら悪評が立ちそうだったので、箱を作ってもらうことにした。


 家具が並んでいる店に顔を出す。


 店の方達、土下座ではないが、膝に頭をひっつけてお辞儀、体は柔らかいようだ。


 ガッチリした蓋つきの木の箱を注文、念のため中は防水加工してもらう。


 製作に5日、ギルドの貸し研究室で、魔法の研究。


 5日後、箱を受け取る、中は木のヤニが塗られ、防水対策がしてあった。

「 気に入った 」代金を払い、収納。


 早速、都市ダラムの外へ、森の中に入る。

 木の箱を取り出す


「 エンケドラス、この箱一杯になるまで、ランラビットを捕まえるのよ 」


 遊んでいるのと勘違いしたのか、大喜びで、超加速しながら森の中を駆け巡る。

 ポチは、新鮮な草を食べるのに夢中。


 ランラビットを咥えて戻って来た


「 わー、凄い凄い 」私の足元に下ろすと、駆けてゆく。


 1時間ほどで、14匹箱が一杯に、シッカリ蓋を締めて、収納。


 生物は直接収納できないが、箱の中にいれれば収納できる、世界の箱という、アイテムボックスの特徴でもある。


 焼き肉店金龍には3匹、1匹は夜の砂亭、残りはギルドの食堂に差し入れでいいか。

 夕刻、最もギルドに人が多い時刻に顔を出す、受けつけ


「 依頼のランラビット3匹だ。」


 雑音が消え静まりかえった、ゴクリと唾をのむ音。


 箱を出し、蓋を開け3匹をカウンターに置く。


 サイコキネシスで、箱を持ちあげ、食堂に移動


「 ランラビットの討伐依頼を受けた、これは差し入れ、10匹しかないが、皆で食べて、私はシチュウがいい 」


 火のついたような歓声が上がる。


 食堂の奥から料理人が駆けだしてきて、ランラビットに頬ズリしている、おっさんなのでキモイ。


「 お前何を考えているんだ! ランラビットだぞ、売ったら金になるだろう! 」

「 文句を言ったから、ダムロンは食べないでね 」


 それなりに歳をえたオジサン、ダラムギルド、私を入れなければ最強の男、疾風のダムロン。


「 泣くな! 」


 オジサンを泣かせても、後味が悪い、「 少ないけど食べたら 」


 久しぶりに食べたランラビットのシチュウ、頬っぺた落ちそう、幸せ。


 レディは美味しものを食べると、幸せ一杯になれるのよ、ギルドの食堂は幸せ一杯の女冒険者であふれかえる。


 騒ぎすぎて、夜の砂亭に戻ったのは深夜、女将さんに1匹差し入れして部屋に。

 冒険者達との距離が縮まった気がした。


 ギルドの片隅で、その様子を冷めた眼でみている男がいた、遠方からやってきた冒険者達だ。


「 漆黒の魔女ネェ、魔法は桁違いかもしれないが、タダのガキ、親しい人を人質に取ったらどうでるかな 」


「 むふふふ、魔女に一泡吹かせてやる 」


「 ダラムのギルド、冒険者、魔女に腑抜けにされて情けない、魔女が俺達に何をしたか、魔女が少しでも困るなら、この命すてられるぜ 」

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