第98話 シャドウウルフ

 ムンベルグ領地まで、道を使い、都市や村を経由した場合13日ほどの距離しかし、直接森を飛び越えた場合、3日程度、シュミハザからの地形情報があるから、このような方法も可能である、最短距離を選択したため、森の上を飛行している。

 村を経由すると大きく迂回することになる。


「 森の中での野宿、ついつい楽しんでしまう 」


「 グルグルグル 」


 エンケドラスと一緒に、森の中を走り回り狩、野生化はレディらしくないかも。


 2日メの朝、大河ワンノイリバーに出た、対岸がかすかに見えるほどの川幅がある。

 20cm 程度の魚は見当たらない、数メートルありそうな魚、焚火で串に刺して焼くには大きすぎる。

 食べれるサイズにさばくなんて面倒。

 つらつら考えていると、エンケドラスが魚を取ってきた、一塊切り取って焼いている。

 今夜はここで野営しよう。


 川の流れに沿って飛ぶ、夕日が沈みかけるころムンベルク城が見えてきた、夕日に溶け込む城とキラキラ光る水面、吟遊詩人に歌われるだけの景色を眼にすることができた。


 川へ向かって張り出しているテラスへ、両側から抱きかかえられた、城主エレナの出向を受ける。

 彼女の周りのマナが揺らいでいる、魔女だ、間違いない。


 怪我は酷いようだ、領民から税を巻き上げ、その代わりに魔獣から守ってやるという契約をしている、ところが領地の村はすでに7つが廃墟となり、深刻な状況。


 魔女エレナと食事をしている。


 私たちの周りには、まだ毛が生えていない男の子が裸でいる。

 料理を運んだり、ワインを継いだり( 私は お酒は遠慮した )


 会話した感じ、誠実で真面な女性のように感じる。

 でも私たちの周りには裸の男の子が10人以上いる。


「 私はこれくらいの子がこのみなの 」

 はぁー 見たいな事を言い出した。


「 大きいのも、腐っているようなのも、好みじゃないの 」


 いや、まぁ、それは同意しそう。


「 さぁ 漆黒の魔女様も 」私の周りにも男の子が、

「 もう少し、大きくなった子のほうが良かったら取り替えます 」


「 こうやって、皮を剝いてぇ、触ったりするのが好みです 」

「 皮の中は汚れやすいので、綺麗にしてあげるのよ 」


 なっ! 知らなかった、確かにした後、洗ったりしていないし、不潔なのかも。


 くぅーっ 私も皮をむいてみたぁーーーぃ 我慢、我慢、我慢よ。

 将来旦那様と一緒にお風呂にはいったら、皮を剝いて洗ってあげないといけないのか、少し練習しておかないといけない。

 新情報、スワニーにも教えてあげなきゃ。


 まだ、股に毛も生えていない、触って大きくして、満足したような顔。

 やっぱり魔女、どこか壊れているのか?


 ガン観してしまったけれど、力があるからって人の尊厳を踏みにじっていいわけじゃない、誘惑に負けそうだ。


 羨ましくて、我慢しすぎなんかじゃないと思う

「 今日は移動で疲れた、先に休む 」一方的に切り上げる。


 やる気がなくなる気がしたが、本当に困っているのは、魔女エレナではなく、領民である、報酬だけきちっともらってやるべきことをやろう。


 ムンベルク城の騎士の案内で、崩壊した村へ向かう


「 ここは、私の領地でしたが、守り切れませんでした 」悔しそうに話す騎士。


「 グル 」エンエドラスが反応


「 魔獣がいるようです 」


 騎士達は剣を抜き、背中合わせになり構える、何処から襲ってくるのかわからないから、背中を仲間に預けている。


 緊張が続く。

 一瞬マナが揺らいだ、とっさに横に動いていた、ほんの一瞬だけ狼が姿を現し消えた。


「 キャン、キャン、キャイーーン 」エンケドラスが1匹腹を前足で抉り取っている。


 案内してくれた騎士、鎧の上から腕に噛みつかれ、引きずりまわされている、長剣を手に、振り下ろす、かすっただけで、シャドウ・ウルフは消えた。


 強くは無いが、陰に溶けるという能力はやっかいである。


 大地に手を付き、トレース。


 頭の中に浮かび上がってくる、シャドウ・ウルフ ナノマシンからは逃れられないようだ。

 ノミジュイが使っている、姿を消す魔法とも違っている。


 私が認識したと同時に、


 シュミハザがロックON

「 Поразите непријатеља испред себе пулсним ласерским топом Шумихаза. 」

 パルスレーザを打ち込む。


 13 匹の死体が地面に転がっている、、周りにはもういない。


 案内した騎士達は棒立ち。


「 誰も、討伐できなかったのに 」

「 この辺にはもういない 」

「 魔玉を取り出してくれる 」


 13匹のシャドウ・ウルフは、騎士達が増援を呼びすべて城に持ち帰った。


 魔女エレナ、担がれて出てくると、面玉が飛び出そうな顔をして驚いていた。


「 明日は別の領地を回ってみる 」


 それだけ言って、部屋に引き込もうとすると呼び止められる。


「 あの、報酬につきまして 」

「 ギルドと話をつけてくれればよい、生き物は受け取らない 」


 夕食は魔女エレナと一緒だった、話しも真とも、頭の切れも鋭い、だが、裸の男の子に、いたずらをしながら、満足そうな顔をしている、どこか壊れているのかもしれない。


 私は尽き合わず、さっさと引き上げる。

 このままでは、魔女エレナと同じことをしそうだ、嫌だわ、触りたい。


 シャドウ・ウルフの魔玉を解析していると、修道服を着た、超が付くほどのイケメン1人、超が付くほどの美女が1人、入ってきた。


「 14 匹討伐、10匹分の報酬です 」信じられない事に本人の口から出た言葉だ。


 お父様一筋の私が、ドキッとした、顔が熱い、自分でも驚きだった。


 アウンサンガ教会の天使が1人、オルンサンガ修道院の巫女が1人。


「 エレナ様から、お傍にいるよう申し付けられました 」

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