第97話 ムンベルクからの依頼
ギルド会館で借りている、研究室に籠もる
未解析の魔玉が並んでいる。
「 さてと、巨大ナマズの魔玉は何を教えてくれるのかしら 」
「 電気ナマズ、雷じゃない電気の使い方か 」
夕暮れになり、研究室から出て、フロアーに降りる。
「 お前が漆黒の魔女という奴か 」
立派な身なりをした青年、といっても私より 10 cmほど背が高い男の子が話しかけて来た。
「 ここではそのように呼ばれている 」
横を通りぬけようとする
「 ちょっと待て 」
「 僕がわざわざ声をかけてやっているというのに、その態度はなんだ! 」
無視してそのままギルドの外へ。
そいつは追いかけて来た
「 おい! そいつを捕まえろ! 」誰も動こうとしない。
喚いているがそのまま、ギルドから離れる
「 僕が命令しているんだぞ! どうして従わない! 」
たぶん自分中心に世界があるのだと思い込んでいる可愛そうな奴、相手しないのに限る。
誰も私を捕まえようとしないので、走ってきて目の前に両手を広げて立ちふさがる。
「 ドケ、じゃまだ 」私の言葉で呆けた顔をして棒立ち。
「 どうして僕のいう事を聞かないんだ! 」 涙ポロポロ。
夜の砂亭で夕食を、女将さんが料理を運んできてくれた。
女将さん 「 魔女様、リィモンコオのバカ息子泣かしたんだって 」
「 はぁ 」
「 都市ダラムの貴族、リィモンコオ男爵の息子だよ、自分は世界一偉いって思い込んでいる、この辺では有名なオバカだ 」
「 確か名前は スウテヒポロン・リィモンコオ 、リィモンコオ男爵は、妻と5人の子供がいたんだけど、魔獣にね、それからしばらくして妾をもらって、その子供がスウテヒポロン、子供失った反動か、甘やかしすぎて、オバカに育ったのよ 」
「 どうでもいいわ 」
部屋に戻る階段で、聖魔教会の聖女様こと、スワニーが待ち伏せしていた、笑顔を振りまいている。
そのまま、部屋まで入って来る。
人目みてわかる、話したくてどうしようもないようだ。
ドアを閉めた途端、マシンガンのように言葉があふれ出た
「 うふふふ、デートしたの 」
「 わかる、大人の男性と大人の女性とがね、一緒に歩いたり食事したりするのよ 」
「 うふふ、うふふ 」
「 相手はダムロン、デートは初めて? 」
大きく、首を縦に振る、 三十路、男に飢えきった女、スワニーをみて、私はこんなにだけはならないと誓った。
あまり聞きたくもないのに、一部始終を話しまくっている。
相手のダムロン、キスどころか、指一本触れてないというのがわかった。
「 それで、手も握ってもらえなかったの? いい大人が、そんなんでいいの 」
ガビーーン てな感じのリアクションを示すスワニー
まったく男ズレしていない、三十路の女をからかうのは面白い、かくいう私も、お父様以外の男性と手をつないだことは無い。
ヤンキー座りが似合う聖女
「 硬すぎる女だって思われたのかしら、手も握らせなかったから、ねぇどうしよう、今度会ったときは、最後まで、それは、軽すぎるって思われるは 」
「 頑張ってね 」
ギルドの受付マリカさんに呼び止められた。
大河ワンノイリバー、その上流に、吟遊詩人が歌にするほど美しい城があるという、ムンベルク城、大河に沈む夕日と赤土色の城が重なるとき、幻想的な景色となる。
その城の城主でから、ギルドに私を指名し、救援の依頼が届いた。
魔女だという噂がある女性である、魔女エレナ・ムンベルク
ギルド会館の個室にて、説明を受けているわけである。
シャドウ・ウルフ討伐依頼、陰に潜む能力があり、何処から襲ってくるのか分からない、討伐に出た、城主エレナは、太ももに噛みつかれ療養中、ムンベルクの騎士達も手に負えない、領民に大きな被害が出ている。
60匹以上の群れが、領地に現れた、 大きさは大型犬程度、陰に溶け込むという特殊能力を持つ魔物である。
報酬、50匹でアウンサンガ教会の聖天使1人、10 匹に尽きアウンサンガ教会の天使1人。
女性がよければ、50匹でオルンサンガ修道院の聖女、10匹に尽きオルンサンガ修道院の巫女1人。
「 聖天使、天使、聖女、巫女って 」
ギルマスのチャロンポング、いつになく拳を握り締めオルンサンガ修道院について熱く語り出した、聖女がほしい、巫女がほしいといわんばかり。
マリカさんも、アウンサンガ教会の聖天使と大天使について、熱く語る。
聖魔教会とは別で、各地から美男美女を集め、きちっと教育を受けた人達だということがわかった。
「 人が報酬? 」
「 ムンベルク領地で、誇れるのは、景色とアウンサンガ教会、オルンサンガ修道院です、それを指しだすというのですから、よほど困っているのだと予想します 」
「 人間はいらない、他の物であれば、考えるわ 」
「 も、もったいない 」
「 そこまで、困っているのなら、ムンベルク領地へ行きます、報酬は私が納得できる内容にしてください 」
契約は成立していないが、ムンベルクの領地へ向かう事にした。
シャドウ・ウルフについて調べたが、陰に溶け込む能力について記述がある程度、詳しくは知られていない魔物だ。
体は小さくても、エンケドラスのような魔獣も存在する、慎重に行動すべきである。
エンケドラスの背に乗り、ダラムから飛び出す。
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