第9話 雨

 雨は1週間ほど降り続くと予想、やっぱり、片足持っていくことに、サイコキネシスを使い浮かびあがらせ、私の前を浮いている。 浮いた片足、使うには眼で認識する必要がありそうだ、動物の生足それなりに不気味、眼をそらすとドサリと落ちてしまう。


 目的の洞窟発見、枯れ木を集め、火をつける準備をする。


 ポツポツと降り出した雨、すぐに大粒に、当たると痛い、なにこれ、バケツでもひっくりかえしたような、水が空から落ちて来る。


 分厚い雲で覆われ、薄暗い、ゴロゴロ、噂に聞く雷の音、洞窟の奥に入り、外の様子を眺める事に、時々空が光る、稲妻が空から山に、どのような現象が空で発生しているのか、理屈はわかる、だけど、理屈抜きで「 怖い 」


 しがみつく物が無い、一人っきりだという、寂しさがこみあげて来る、「 泣くもんか 」


 口に出したけど、ポタポタと涙が膝の上に落ちている。


 しばらくグズッテはみたものの、予想では1週間続くのだ、そこまで長くは泣き続けられない。


 本を取り出し、読み始める、マナの使い方について書かれた本、魔道書っていうやつだ。


 雨は降り続いている、ウルフの肉を焼いて食べた、少しだけのつもりが、美味しくて、がっつり、妊娠初期のように、ぷっくりと膨らんだお腹が気になる。


 雨で体を洗い、洞窟の中に戻る、食べ過ぎたせいか、催してきた、一杯出るような気がする、洞窟の中では、臭うのではとちょっとイヤ、外は、大雨、もっとイヤ。


 お腹がキシンでくる、もうダメ、洞窟から外に走り出て、しゃがみこむ。


 出っ張っていたお腹がへっこんだ。 この体太るのかしら、不安が頭をよぎる。


 台風というのだろうか、やっと通り過ぎた、カラットした青空が広がっている、山をおりようとして、あたり一面に広がる茶色濁流、何処までが川だったのかわからない、ゴウゴウと音を立て、茶色い水が流れている。


 高台の洞窟だったからよかったけど、川の近くだったら、流されていた。


 いつもより、頭の中に浮かび上がる、生き物の数が多い、雨が上がったので出て来たようだ、大型の物もいる、後2,3日洞窟に引っ込んでいたほうがよさそうだ。


 洞窟では、じっとしていたわけではない、勿論中を探検したし、魔道書を読みながら、マナを使う練習もした、十分に時間はつぶせる。


 地表から水分が抜け、少し硬くなってきているのを感じながら、城壁で囲まれた都市の手前にある、小さな集落に向け、足を進める。

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