第4話 湿地帯
目の前には広大な湿地帯、花が咲き乱れ、野鳥の姿に眼を奪われる、地底で育った私にとって、昔の地上はこうだったと映像でみた景色が広がっている。
「 綺麗! 」自然に涙があふれてくる、人は地上で生きなければならなかった、景色を見る度思う。
太く細長い生き物、長さは30 m以上、蛇、それにしても大きすぎる、進行方向の先に湿地帯が広がる、シュミハザからの地形の情報によれば、十分歩ける部分もあるのはわかっているが、直線とはいかず、かなり迂回するようなコースを取るしかない。
シュミハザの記録によると、人工冬眠して15年後に、人類は抹殺計画により絶滅している、地球の表面をすべて消し去り、一旦リセットしたと言っていい。
宇宙に出た人類はどうなったのだろう、自動自爆計画、太陽系を離れると自爆するプログラムに関する記録、宇宙に出た人々もチリとなったのだろうか、気になるけど、知る手段すら無い。
遺跡があり、その構造から、古代文明、少なくとも新しい人類がこの地表には存在している。
水辺に近づくにつれ、巨大な蛇、巨大なワニ、ナマズのような魚の存在が、脳内にうつしだされている。
研究者としては、半人前どころか、ひよっ子であるが、脳細胞まで、IPSナノマシンによって置き換えられているのだろうと予想できる。
「 蛇とワニについて、半径30 mで知らせて、5 m以内に入れば、パルス・レーザで攻撃 」
シュミハザに指示を出し、水辺に近づく。
水面に写る私の姿、見とれてしまった、髪をかき上げポーズ、腰に手を当てポーズ、首をかしげてポーズ、にっこり微笑んで、くるっと回って、メッチャ満足、女性である私が、少女に見とれるそれも自分自身。
もともと、そこそこであったと思っていたが、あり得ないような超絶美少女が映っている。
胸と腰に巻いていた、皮をはずし、膝まで、水につかり、体に水を掛ける。
ひんやりして冷たい、水に浸かった両足から、広がっていくように、湿地帯の地形情報が浮かび上がる。
水の上だって歩けそう、そんな気さえする。
水面にナノマシンを集め、その上に足を乗せる、僅かに水に浸かる程度で、水面の上に立つことができる。
シュミハザからの警告、ワニが近付いてきている全長20 m怪物。
水面から離れる、今度は50 mくらいの蛇、記憶にある生き物にしては、大きすぎるような、この世界に広がるナノマシンと同調できていなければ、とっくに餌になっている。
私を襲うのなら、遠慮などしない、炎の塊や、風の刃のような、空想の魔法は使えないけれど、体の中に含んでいるナノマシンを制御することで、簡単に死を与える事ができる。
まっすぐに私に向かってくる、2 匹の巨大蛇、脳の神経を切断。
「 きゃーーっ! 」 巨大蛇は死ぬ間際、のたうち回るようにその巨体を鞭のように振り回す。
せっかく綺麗に洗ったのに、お尻が泥まみれ。
水辺に近づくにも、ワニがいる。 「 何なのここは 」 ワニにも死を与える。
湿地帯の中を通るルートを選択、まず手始め、水面から顔をだしている、小さな島まで、水面のナノマシンを制御し、その上に一歩一歩足を置く、約10 分、なんとか土がある所まで歩く。
魚を眼にする、小さい魚がいたので、ホットした、湿地帯の水は澄んでいて、底がみえる、たとえ見えなくても、頭の中にはその様子が浮かび上がっている。
魚の周りの、ナノマシンを制御、突然泳げなくなり浮き上がってくる、手でつかむ。
まずは焼いて食べる。
合成食料しか口にしたことが無かったため、天然物の味は未知に等しい、淡泊な味、調味料が欲しい、無い物は仕方ないか。
水面から顔を出している土地を利用し、湿地帯の水面を歩きながら進む、水の上を歩くなんて、私、、、魔女みたい。 いや、魔女だ、そういう事にしよう。
湿地帯をほぼ直線で渡り切ると夕暮れに、水辺は、大型の爬虫類などが多く、寝るには問題がありそう、少し離れた所に腰を下ろす、 「 シュミハザ、警戒よろしく 」
火をおこし、魚にかぶりつく。
地底での居住、小さな箱の様な部屋、カプセルのようなベッド、今まで疑問すら持たなかったが、広い世界、たとえ危険でも人は地上で生きるべきだと思う
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