第3話 力の一旦

 比較的近くに、人工的な建造物を発見、遺跡のようだ。


 この場所を離れるのに、シュミハザに地下研究所の破壊命令を出す。新世界がどうであれ、過去の遺物を残しておくことは良くないと思えたからだ、ほっておいても地殻変動に押しつぶされて無くなる、もともと研究所、綺麗になった世界に、地毒などが流れでもしたら、それに妙な未練も断ち切りたかった。


 影響が出ない所まで、距離を取る、

「 シュミハザ本来のお仕事よ、研究所を破壊 」


 音も何も無く、静かに起こった、目の前の土地が数キロにわたって、一瞬にして消えた。


 余りの驚き、腰が抜ける。


 反物質転換砲、こんなものを何百発も地表に打ち込んだのだ。 地表を一皮むいて人類は消えた。


 胸が苦しくなってきて嗚咽がもれる。


 ほとんど裸、女の子一人、仲間は地上攻撃型軍事衛星、ありえない。


 座り込んでいても、仕方ないので歩きだす、生命は戻ってきているのだ、生きるしかない。


 遺跡に向かって歩きだす、人に会う前に服を何とかする必要がる、それに新世界の状況もある程度理解しておきたい。


 飛び級制度、17 歳で、大学院卒業、18 歳でナノマシンの基となる、原子核ピコマシンの博士号を習得、父親の元で生体ナノマシンの研究の仕事について5 年。


 勉強と研究だけの人生、5000 年後の世界にたった一人放り出されてしまったのに、冷静、空気、大地に含まれるナノマシンが私と共にある、分子より小さい機械が、友達?


 シュミハザからの映像が、頭の中に、変な感じだが、慣れてくれば、隅のほうに追いやるなどできてきた。


 動物なのだろうか、群れで行動している、13 匹こっちに向かってきている。


「 シュミハザ 大きさはどれくらい 」「 3m~4m 」「 それって恐竜? 」観た感じは肉食恐竜に告示した姿。


 とりあえず木に登る、30mはありそうな巨木、きっと大丈夫、恐竜は私が捕まっている巨木の周りに、見下ろしているのだが、全身に鳥肌が立ち、体が震える。


 木に体当たり、怖い、恐ろしい、揺れる、木がブンブン揺れる、両手と両足を使ってしがみ付く、涙で視界がぼやける、「 うぇ、うぇ、うぇ ビエーーーーン ゴワイよーーっ 」 声を出して泣くと気持ちが落ち着いてきた。


 恐竜を見下ろす、頭の中に顔がズーム・アップそして、体内の構造も、恐竜の体にあるナノマシンが情報を伝えてくる。


 私とは違い細胞はナノマシンではない、皮膚、筋肉、骨、脳、神経、内臓、にもナノマシンは存在する、しかし、唯存在するのみ。


 私のように、細胞となり組織を作っているわけではない、自然界にある、成分として体内に取り込んでいるに過ぎない。


 自分の力の一旦をその瞬間理解できた、脳や神経に含まれているナノマシンを操作すれば、恐れる事など何もない、脳から出ている太い神経に含まれているナノマシンを暴走させる、恐竜は突然痙攣し、倒れる、一瞬で殺した。


 死んだ恐竜に群がりむさぼり食う、残っていた恐竜たち。


「 何て世界なの 」


 このままでは、木から降りる事ができない。


 先ほど恐怖で泣いたばかりなのに、冷静に観察している。


「 シュミハザ、 攻撃準備 」 頭の中に、攻撃手段がリスト表示される。


 反物質転換砲、大陸でさえ消し去る武器、論外だ、サテライト・ビーム 広域にビームの雨を降らせる、論外。 超荷電子砲、パルス・レーザ砲 大気圏上空から、ピンポイントでゴキブリでさえ、撃ち抜ける。


「 私が観ている、恐竜の頭部に、パルス・レーザの標準をセット 」

「 ターゲット ロック オン 」

「 撃て 」


 恐竜の頭に、小さな穴が開いたのがわかった。 即死。


 2匹も仲間が死んだというのに、共食いをしているだけで、木から離れようともしない。


 こいつらを追っ払うには、顔の周りにある、ナノマシンを暴走させる。


 ボッ ほんの一瞬、顔に火が付いた恐竜はパニックになり、お互いにぶつかりあい、木に激突しながら、逃げて行く。


 泣かされた、お返しができた事に満足しながら、木から降りる。


 死んでいるのは解っているが、傍によるだけで足が震える、お腹の皮は柔らかい。


 手元には、ナイフ一つ無いが、ナノマシンを使えば、皮を切り取る事もできるはず、切り取りたい部分を見つめ、ナノマシンを振動させる、振動により熱が発生、焼き切るような形で恐竜のお腹の皮、2枚。 1枚切り取るのに約 40分、効率が良いとは言えない。


 胸と腰に巻き付ける、裸よりは、ましか。


 肉を食べてみたい、気持ちもするが、どうやって切り取る。


 牙を引き抜く、見た目華奢な女の子、その実態は怪力少女のようだ。 共食いの残り肉、牙を使って、ひと固まり切り取る。


 血の匂いを感じたのか、先ほどの恐竜とは別の、大型の生き物が近付いてきている、衛星軌道から頭の中に映像が送らてくる。


 離れたほうが良い。


 遺跡に向かって、歩き出す。


 1時間ほど歩き、落ち葉と枯れ木を集め、火を起こす、ナノマシンに消滅しろと思うだけで、ほんの一瞬火が付く。


 持ってきた肉を、木の棒に刺して焼いてみる。


 肉の焼ける、臭いがする。 とりあえずかぶり付く、口の中に広がる、肉の味と肉汁、「 美味しい 」どうやら、食べる事もできるようだ。


 大木の木の枝で、一夜を明かす、シュミハザが監視、頭の中にも、あたりのイメージが浮かび上がっている、恐竜に襲われるかもしれないなど、考えていたが、いつの間にか眠ってしまつていた。


 喉が渇いた、太い茎を持つ大きな葉、恐竜の牙を使って葉を切り取る、茎に含まれているナノマシンを操作、根から水をくみ上げる。


 水を飲むと、生理現象、催してきた。


 森の中で、するのか、もちろん初めて、オシュレットがついたトイレすらない。

 先ほど水を吸い上げた、茎から手のひらに水を、何とかお尻を洗う、他に人がいれば

 美少女やめなきゃいけない。


 森を歩く事4日、恐竜のような大型の生き物に日に2~3回は遭遇、小型の動物も生息している、ほかにも虫、それも人くらいある大きな虫、出来るだけ関わらないように、近づいてくる、襲って来るものには、衛星軌道からの兵器により死を与えた、そして森が途切れる。

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