第11話 忘れた人
幸せで平和な世界過ぎて時間が過ぎるのは早かった。
2人の色々な話を教えてもらった。
こないだ2人で水族館に行ったらしくそこにいたジンベイザメが特大サイズで桃が大はしゃぎだったらしい。
なんて可愛らしいエピソードなんだろう。
浮羽和も桃の前では優しい兄のような顔で話す。お店とはまた違った素敵な1面だ。
この微笑みでどれだけの人を落としてきたのだろうか…。純粋無垢な少年時代を想像して少し震える。
「あ、そろそろお店開かないと」
浮羽和の声で時計を見る。
時刻は22時になろうとしていた。
「すみません!すごく長居してしまって」
「大丈夫大丈夫!遅い時は0時とかに開くこともあるから〜」
桃はあくびをしている。喋り疲れてしまったのだろう。
「桃ちゃん、明日はおやすみじゃないよ。ほら、補習があるんでしょ?ちょっと体起こして、ほら!お風呂ササッとすませておいでー」
もうすっかりおねむモードに入ってしまった桃が可愛すぎる。
そういえば…何か忘れてる気がする…。
あ、明日休日限定の資源ごみの日だ。今日帰ったら雑誌と新聞紙を出そう。レポートまとめる時に資料として集めた新聞紙が邪魔で邪魔で仕方なかったのだ。
「とわちゃ、お待たせ。よし、行こっか」
色々BARの用意をまとめたカバンを持っていた。そこには小さなカエルのキーホルダーがついていた。
多分みくり辺りに貰ったのだろう。可愛い。
あまりにも普通の玄関から出るとやっと現実世界に帰ってきた気がした。
あまりにもあの空間はほのぼのしてて平和ボケしそうだった。いや、もうあのままでよかったんだが。
Re:LL(W)の階段を下る。
当たり前だが私が一番乗りだ。
浮羽和が電気をつけて色々準備をし始める。
「何か手伝えることあります?」
「座っていいよ!とわちゃはお客様なんだから、それにすぐ終わると思うし。準備したらとわちゃに飲み物出すね少し待っててっ」
もうそう言われたら忠犬ハチ公を超えるレベルの待てをしておこう。
と言っても忠犬ハチ公もそうだったように何もすることはないので浮羽和を眺めることにする。
手つきが全て洗礼されてるというか…。
何故か1つの行動をする度に美しいが似合う行動だ。
そういえば今日はみくりやさやかは来るのだろうか。
今日はみくりの横に座ろう。彼の隣になんか座るものか。
ん?そういえば………………………………。
「あ、」
突然声を出されて浮羽和さんはこちらを見てきた。
「ん、どした〜?」
浮羽和さんの声は聞こえていたが、とりあえずスマホを見る。
画面には彼からの大量の着信とメッセージが表示された。とりあえずメッセージの内容を見る。
{とわさん、会食終わりました} 21:24
{Re:LL(W)にもう居ますか?僕ももうすぐイリ駅に着きます}21:26
{Re:LL(W)がまだ空いてないんですが、とわさんは今どこにいますか?}21:35
{とわさん大丈夫ですか?}21:36
{とわさん?}21:36
その後の通話の通知の数は3件。
これはやばい。もう30分も前のことだ。
とりあえず彼に電話をかける。
「プルルルプルルルル」
「…ッもしもし!!とわさん?大丈夫??」
あまりにも放置しすぎた。
というか忘れていたというのが本音だ。
「ごめんながめん!!!すっかり忘れてた!!!!!」
自分でも驚くほどバカ正直に忘れていたと告げてしまった。
「いやいや、なんかあったのかと思って焦ってたからとわさんに何かあったんじゃなくて良かったよ」
温厚な彼は私の罪をすぐ許してくれた。
本当に温厚というか心が広すぎるというか。
そんなところがたまに心配になるのだが、今のところ変な詐欺とかには引っ掛かってないし…。あ、いやいや今はそれよりも。
「ながめん今どこ?」
「もう家だけど、とっくに会食終わってるよ、Re:LL(W)は今日開かないっぽいな」
…………………??????はい?
「私今Re:LL(W)だけど…」
「え?」
「え?何言ってんの?」
「Re:LL(W)やってんの、、、?」
「うん、現在進行形で私いますけど」
「え、もう僕帰ってきちゃったよ」
「え、、う、うんなにやってんの?」
「そもそもとわさんが僕の事を忘れたのが悪くない??」
「いやそれは謝るけども、!みくりんに連絡してみるとか色々あるじゃん!!」
「いやいや」
と軽い口論を彼と行っているのを浮羽和さんは優しく微笑みながら見ていた。
そして声がいいから囁きなんかしたらダメなのに小声で「僕に電話貸して」などと言ってきた。
色々破壊力が強すぎてスマホを渡す手が震えたがとりあえず渡すことにした。
「とりあえずさ、とわs…」
「ながめくーん?浮羽和だけど〜」
その後何が話されたか分からないが、ものの20秒程で通話は切られていた。
「ながめくん、今日は来るのやめるって」
流石の対話術というか…説得術というか…。
そんな感動というか感銘を受けていたらドアが開く音がした。
「おっやってるじゃーんっ!」
「おつかれさまぁ〜!」
「やべ、タバコもう少しでなくなりそう…切れたら買いに行くか…」
この声達は来るのを待ち望んでいた人達だろう。
眺以外みなが集合した。
まぁ彼には後日大学で伝えるとしよう。
最初に会った時から3日が立っている。
日はそこまで経ってはいないのでみんなのやる気と言ったら言わずもがなだ。
予めさやかと2人でどんなことを話すか共有はしといた。
今回の議題は…。
私と彼以外の他の人も夢を見ているのではないか。という議題だ。
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