第5話 つんつんな妹
「おにーちゃんのことなんて、なんとも思ってないもん」
//素っ気なく
「朝起こしてあげるのも、毎日朝ごはん作ってあげるのも、全部全部使命感でやってあげてるだけなんだから」
「その辺、勘違いしないでよね?」
//ツンツンな感じで
//SE:カメラのシャッター音
「う~~」
「おにーちゃんが大好きだけど素直になれない天邪鬼な妹を演じているとはいえ、せんぱいにツンツンするのは苦しいし申し訳ないです……」
「どうでしょう。うまく撮影できましたか?」
「……うん、問題なさそうですね」
「じゃあ着替えるので……」
「もう少しその衣装のままキャラを演じてほしい?」
「え、さっきみたいにツンツンした態度を取られたら嫌な気分になりませんか?」
「……そ、そうでもない?」
//驚いたように
「むしろ新鮮味があっていい?」
「なんだかせんぱい、変な性癖が芽生えはじめていませんか?」
「……けど、せっかく作った衣装と役作りがこの一瞬でお役目終了というのも寂しいので、せんぱいの要望にお答えすることにします」
「では……んんっ」
「それで、おにーちゃんはうちとなにがしたいの?」
//不機嫌そうに
………。
……。
…。
//SE:手をマッサージする音
「もみもみ。もみもみ」
「妹に手のマッサージをさせるって、世間から見たら相当イタイよ、おにーちゃん」
//蔑むように
「まぁ、うちは全然ヤな気分じゃないけどね」
//ぼぞっとつぶやく
「……ん、もっと強くしてほしい?」
「にぎにぎ。にぎにぎ」
「これくらい?」
「……もっと強く?」
「まったく注文の多いおにーちゃんだなぁ」
「にぎにぎ。にぎにぎ」
「これくらい?」
「え、もっと強く?」
「大丈夫? これ以上強くしたら、さすがに痛いんじゃないの?」
//不安げに
「……わかった。おにーちゃんがそうしてほしいなら」
「んっ! んっ! んっ!」
//力いっぱい押してるイメージ
「ど、どう? おにーちゃん、気持ちいい?」
//やや息を切らしながら
「……うちがつらそうだからもうちょっと力を弱めてほしい?」
「ふふ。うちを気遣ってくれるなんて、おにーちゃん優しいじゃん」
「まぁ、おにーちゃんが優しいことなんてずっと前から知ってるんだけどね」
//ぼそっとつぶやく
「じゃあお言葉に甘えて、少し弱い力でマッサージさせてもらうね」
「にぎにぎ。にぎにぎ」
「ふふ。妹のマッサージで気持ちよさそうな顔しちゃって、おにーちゃん、恥ずかしくないの?」
「……そ。恥ずかしさよりも気持ちよさが勝ってるんだ」
「じゃあ、もっとがんばっちゃおうかな」
//ぼそっとつぶやく
「にぎにぎ。にぎにぎ」
「おにーちゃんの手、ごつごつしてておっきい」
//SE:手を重ねる音
「ほら見て。うちの手と比べるとこんなにおっきいよ」
「この手をつないで隣を歩いてくれる女の子がおにーちゃんにできるのかなぁ~?」
//からかう
「……できないといいなぁ」
//弱々しく
//SE:指を絡める音
「いつまでもいつまでも、うちだけのおにーちゃんでいてほしいなぁ」
「うちのおにーちゃんを誰にも取られたくないよ……」
//寂しげに
「……ハッ!」
「べ、別におにーちゃんのことなんてなんとも思ってないんだからっ」
「いまのはずっと近くにいた人が遠くに行くのが寂しいなぁって意味合いで、おにーちゃんだけを特別扱いしてるわけじゃないんだからっ」
//早口で
「その辺、勘違いしないでよねっ!」
「~~っ!」
//悶える
「そ、その優しい顔やめてっ!」
「全部全部、ほんとのことなんだからねっ」
「……も、もぉ~!」
「イジワルしてくるおにーちゃんなんて嫌いっ! 大嫌いっ!」
//感情が爆発した感じで
「……あの、演技ですよせんぱい?」
//素に戻る
「せんぱい? ちょっと泣いてます?」
………。
……。
…。
//SE:手をマッサージする音
「すいません。少し演技に熱を入れすぎてしまいましたね」
//SE:服がすれる音
「大好きですよせんぱい」
//耳元で囁くように(下の一文も同じ)
「好きで好きでどうしようもないくらい、せんぱいのことが大好きです」
「……あの、せんぱい」
「わたし、昔から一度してみたいことがあるんです」
「次はデレデレな妹を演じてその夢を叶えてみたいんですけど……いいですか?」
………。
……。
…。
//SE:耳かきする音
「こりこり。こりこり」
「ふ~。ふ~」
「……気持ちいいおにーちゃん?」
「えへへ。ならよかった」
「さっきはひどいこと言っちゃってごめんね? その、恥ずかしくて……」
「前にお祭りにいっしょに行く約束したこと覚えてる?」
「うちね、お祭りが楽しみで楽しみで、ずっと前からママといっしょに一生懸命浴衣作ってるんだよ?」
「おにーちゃんにかわいいって言ってもらえることを想像して、いつもニヤニヤしてるんだよ?」
「想像するだけで気持ちが舞い上がっちゃうくらい、うちはおにーちゃんのことがすきなんだよ?」
「す~き」
//耳元で囁くように(下の一文も同じ)
「だいすきだよ、おにーちゃん」
「ふ~。ふ~」
「……えへへ、お耳くすぐったい?」
「膝枕とお耳かきかきで気持ち良くしてあげるからね、おにーちゃん」
「こりこり。こりこり」
「痛くない? 痛かったら教えてね」
「こりこり。こりこり」
「ふ~。ふ~」
「ふふ、おにーちゃん、ふーふーたびにぴくぴくしてる」
「せんぱい、さてはお耳弱いんですか?」
//耳元で囁くように
「次は反対のお耳だよ、おにーちゃん。お顔こっちに向けて」
「えへへ、視線が重なっちゃったね」
「……ん、恥ずかしくて死にそう?」
「えへへ、うちも恥ずかしく死にそう」
「けどね、それ以上におにーちゃんが気持ちよさそうにしてくれててうれしいよ」
「もっとも~っと、気持ち良くしてあげるからね?」
「ふ~。ふ~」
「ふふ、くすぐったいの気持ちいい?」
「もっとふーふーしてあげるね」
「ふ~。ふ~。ふ……けふけふっ」
「えへへ、ふーふーしすぎてむせちゃった」
「こりこり。こりこり」
「ちょっとだけお耳かきかきで休ませて」
//甘えるように
「こりこり。こりこり」
「……気持ちいい?」
「えへへ、おにーちゃんに気持ちいいって言ってもらえてうれしい」
「も~っと気持ちよくしてあげるね?」
//耳元で囁くように
「こりこり~。こりこり~」
「せんぱいに膝枕しながら耳かきしたいなって、ずっと前から思っていたんです」
//素に戻る
「どうですかせんぱい?」
「ふーふーと耳かき、堪能してくれていますか?」
「……演じていないありのままのわたしが同じことをしてくれたら、もっと気持ち良くなれそうな気がする?」
「ふふ、いいんですかそんなこと言ってしまって」
//余裕たっぷりな感じで
「脳が溶けちゃうくらい、せんぱいのこと甘やかしちゃいますよ?」
//耳元で囁くように
「……くすくす。どうなっても知らないんですからね?」
「ふ~。好きですせんぱい」
「ふ~。大好きですよせんぱい」
「ふ~。せんぱいが大好きなわたしのこと、せんぱいは好きですか?」
「ふ~。好き」
「ふ~。好き好きっ」
「ふ~。せんぱいっ、せんぱいっ」
「ふ~っ!」
//SE:頭を上げる音
「あっ……」
「ふふ、もう限界ですか? まだ耳かきが終わっていませんよ?」
「……脳が溶けちゃいそう?」
「ふふ、だから言ったのに」
「せんぱいはわたしの恋心を軽く見すぎです」
//上機嫌に
「どうしますか? ここで終わりにしますか?」
「……また演じて耳かきしてほしい」
「むぅ。それはわたしよりも妹ちゃんのほうがせんぱい好みということですか?」
//剥れる
「……くすくす、わかってますよ」
「わたしに責められたら耐えられそうにないから、妹ちゃんを選んだんですよね?」
「いいですよ。妹ちゃんになって、た~っぷりおにーちゃんを甘やかしちゃいます」
//耳元で囁くように
「んんっ……」
//SE:膝をぽんぽん叩く音
「おにーちゃん、うちのお膝の上にきて」
「ふーふーしたり、お耳かきかきしたりして、おにーちゃんとたくさんいちゃいちゃしたい……な?」
//甘えるように
「いつも素直になれなくて嫌い嫌い言っちゃってるけど、あれは全部、おにーちゃんがだいすきなキモチを隠すためで、ほんとのキモチは真逆なんだから」
「……そ、その辺、勘違いしないでよね?」
//デレデレな感じで
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