7.睡眠術大作戦2
次の日、私はルンルン気分でパソコンを立ち上げたのよ。
カクヨムの多くの『清く正しい女性』が、私の傑作小説に、タップリとお星さまを付けているはずよね。楽しみ~。
しかしね、私はカクヨムの画面を見つめて、絶句してしまったのよ・・・
お星さまは・・・ゼロだった。PVは123なのに・・・100人以上が読んで、誰も☆を付けないって、そんなアホな・・・
どうしてなの?・・・どうして、私の催眠術大作戦が機能しなかったの?
するとね、私の作品に応援コメントが一つ寄せられているのが眼に入ったのよ。
応援コメントを寄せるんだったら、☆をつけんかぁい、このボケがぁ!・・って思いながら、私はコメントを見たのよ。
なんと、応援コメントは、またまた、あのくそバカ永嶋良一だ! この話は『清く正しい女性』限定なんだよ。オメエはオンナだったんかい? オメエは『清く正しい女性』じゃねえだろぉが、このボケがぁ。
でも、仕方がないから、私は永嶋良一の応援コメントを読んでやったわ。
それは、こんなコメントだった・・・
『こんにちは。取っ手も素敵否作品をありがとうございました。ボク、感動しました。特に、主人公の庭師の女性がだんだんと眠くなるところの病舎が再興でした。
それで、ボク、お星さまを付けようと思ったのですが、余計な仕事はするなということでしたので、止めました。どうして、☆を付けてはいけないんですか?』
『取っ手も素敵否作品』はたぶん『とっても素敵な作品』ね。『素敵』を『否』で否定すんなよな、このボケ! そして、『病舎が再興でした』はきっと『描写が最高でした』よね。コイツ、いっつもこの調子だわ。わざっと間違えてんのかしら? まあ、そんなことはないわねぇ。わざと間違えるなんて高尚なことは、コイツのボンクラ頭では到底、無理よねぇ。
しかし、コイツ、また『☆を付けるのを止めた』って書いてるわね。いっつも、いっつも同じことばっかり書きやがって。今度は、どうして『☆を付けるのを止めた』って言うのよ。
私は永嶋良一のアホバカ応援コメントの続きを読んでみたの・・・
『これって、こういうことですよね・・・「穴を掘る仕事は気ぃをつけよね」がアナクラムになってて・・・』
ほう、お前のアホバカ頭でも『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』がアナクラムになってるって分かったのね。そうよ。『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』がアナクラムで『清いおなごは、あと☆を付けるね』に変わるのよ。『清いおなご』だから、お前なんか、お呼びじゃないのよ。向こうに行ってな。
で、永嶋良一のコメントは続いていて・・・
『つまり、「穴を掘る仕事は気ぃをつけよね」がアナグラムでこう変化するんですよね。
穴を掘る仕事は気ぃをつけよね・・・
あなを ほる しごとは きいを つけよね・・・
あなをほるしごとはきいをつけよね・・・
入れ替えて・・・
よけいなあしごとをほをるはきねつ・・・
よけいなあ しごと を ほをる はきねつ・・・
よけいなあ しごと を ほおる はきねつ・・・
よけいなぁ 仕事 を 放る 破棄ねっ・・・
よけいなぁ仕事を放る、破棄ねっ。。。
よけいな仕事って、☆を付けることですよね。よけいな仕事をしてはいけないということなので、ボク、☆を付けませんでしたぁ。。。でも、どうして、☆を付けることを放って、破棄しないといけないんですか?
ボク、困っちゃう・・・』
なぁにが『ボク、困っちゃう・・・』よ。お前はオカマか? このボケが!・・・
えっ、てか・・・『よけいなぁ仕事を放る、破棄ねっ』ですって・・・
こ、これも『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』のアナクラムなの?
そ、そうかぁ。こちらのアナグラムを見て、『清いおなご』ではない永嶋良一がでてきたのね。で、『よけいなぁ仕事を放る、破棄ねっ』ということで、アホバカ永嶋良一は☆を付けなかったのね。
す、すると・・・誰も私の大傑作にお星さまを付けなかったのは、みんな、この『よけいなぁ仕事を放る、破棄ねっ』というアナグラムのせいだったのかぁ!
私はパソコンの画面を
「くっそうぉ。永嶋良一め。お前の『よけいなぁ仕事を放る、破棄ねっ』なんていう、アホバカアナグラムに負けてたまるかい。こんなアナグラムよりも、私の『清いおなごは、あと☆を付けるね』というアナグラムの方が優れているのよぉ~・・・くっそうぉ、負けてたまるかいぃぃ」
そうして、私はパソコンで、永嶋良一の応援コメントへの返信に『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』と何度も打ち込んだのよ。『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』の本来のアナグラムは、お前の『よけいなぁ仕事を放る、破棄ねっ』じゃあなくて、私の『清いおなごは、あと☆を付けるね』なんだって、心の中で叫びながらね・・・
こうすることでね、私はアホバカ永嶋良一に『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』を強調して、お前の『よけいなぁ仕事を放る、破棄ねっ』というアナグラムは間違ってるって、強く、強く主張したかったというわけなの。
私は永嶋良一への返信に打ち込んだの・・・
『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』・・・『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』・・・『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』・・・
するとね、私はなんだか眠くなってきたのよ。
えっ、どうして眠くなってきたの? なんだか、おかしいわねえ。眠ったらダメよ。この強烈メッセージを含んだ返信をアホバカ永嶋良一に送り返して、眼に物を見せてやるんだから・・・
私はパソコンに文字を打ち続けた・・・
『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』・・・『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』・・・『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』・・・
でも、なんだか眠たい・・・眠たい・・・眠たい・・・
そのとき、私は永嶋良一の返信の、ずっと後ろに、続きが書いてあることに気づいたのよ。このバカタレはぁ! 続けて書かんかい! そんな後ろに書くな、ボケ!
眠くて、閉じようとする私の瞼にその文字が映ったの。
こう書いてあった・・・
『あっ、それで、ボク、『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』のアナグラムをもう一つ見つけましたぁ。。
それは、こういうアナグラムです・・・
穴を掘る仕事は気ぃをつけよね・・・
あなを ほる しごとは きいを つけよね・・・
あなをほるしごとはきいをつけよね・・・
入れ替えて・・・
はあいほなきをつけねるをしごとよ・・・
はあい ほな きをつけ ねる をしごとよ・・・
はあい ほな きをつけ ねる おしごとよ・・・
はあい ほな 気を付け 寝る お仕事よ・・・
はあい、ほな、気を付け。寝るお仕事よ。。。
今度のアナグラムの『はあい、ほな、気を付け。寝るお仕事よ』です。つまり、これは『はぁい、ほな、気を付けてください。寝る仕事が始まります』ということだから、『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』を何度もスマホやパソコンで打ったりすると、眠り込んでしまうコトがあるんですよ(笑)。
気を付けてくださいね(笑)。』
ええ~・・・今度はなんてアナグラムなのよ。『はあい、ほな、気を付け。寝るお仕事よ』ですって・・・これは『はぁい、ほな、気を付けてください。寝る仕事が始まります』という意味ですって・・・そ、そうか、それで、私は眠いのかぁ。
このままではいけないわ。このまま、寝てしまっては、私はずっと眠ったままになってしまう。早く、『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』の呪縛を解かないと・・・ええっと、どうすればいいのかな?
そ、そうだ。私が考えた『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』のアナグラムである『清いおなごは、あと☆を付けるね』は、☆を付けると眠たい状態から解放されるんだった。
私と永嶋良一の、どちらのアナグラムも、元の文が『穴を掘る仕事は気ぃをつけよね』で同じだから・・・永嶋良一のアナグラムでも、☆を付けると眠たい状態から解放されるわけね。
つまり、私の大傑作小説に☆を付けることによって、アホバカ永嶋良一のアナグラムの『はあい、ほな、気を付け。寝るお仕事よ』の呪縛が解けるってわけ。
しかし・・・眠たいわ・・・眠たいわ・・・
早く、☆を付けなきゃ・・・
ここで、半分眠りに落ちている、私の頭にあることが浮かんできたの。
えっ、でも、カクヨムって、作者は自分の作品に☆を付けられないんだった・・・
ええ~、そんな、バカなぁぁ・・・じ、じゃあ、私はこのまま眠ってしまって、もう目覚めることはないの?
そんなのダメよ。何とかしないと・・・何とかしないと・・・
しかし、眠いわ・・・眠い・・・
ほとんど眠りに落ちかけた私の頭の中に、乙女にあるまじき私のお下品な言葉が響いたの。
「チッキショウォォ。永嶋良一め。お前のお陰で、このままでは、私は眠ったままになってしまうじゃないの。どうしてくれるのよぉぉ・・・この、ボケぇぇぇ・・・しっかし、眠たいわぁ・・・眠たいわぁ・・・眠たいわぁ・・・」
〔同情するなら☆をくれ〔part2〕 完〕
同情するなら☆をくれ〔part2〕 永嶋良一 @azuki-takuan
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