3.アナグラムーサブリミナル大作戦2

 次の日、私は希望に胸を弾ませながら、パソコンを立ち上げたのよ。そして、カクヨムのホームページをパソコンの画面に出したの。


 きっと、私の大傑作小説にはお星さまが一杯ついているはずよね。大傑作の上に、アナグラムーサブリミナル大作戦があるんだから。。。


 これで、お星さまはガッチリいただきね。お星さまの目標は・・・そうねえ、最低でも一日に50個というところかしら。


 しかし、カクヨムを見ると、なんと・・・ガーン! 私の大傑作小説には、お星さまがゼロだった。PVは47もあるのに・・・


 えっ、どうしてぇ~。


 私の声がむなしくお部屋に響いたの。


 するとね、私は、私の大傑作の『応援する』という欄にハートマークが一つ付いているのに気づいたのよ。


 誰なの? 応援してくれたのは?


 私が期待を込めて、見ると・・・なんと、あの永嶋良一のバカたれじゃないの!


 私は乙女にあるまじき言葉を、思わず口から吐き出しちゃった。

 

 「また、お前かい! お前なんか、お呼びじゃないのよぉ。この永嶋良一のバカたれが! 引っ込んでやがれぇ~」


 でも、せっかくだから、私は永嶋良一の応援コメントを読んでみたの。そこには、こう書かれていたわ。


 『とってもばらしい話で、bク、勘当しました。特に「星を見つけた。強くなるわ」っていう合言葉がいいです! でも、ボク、お星さまを三つ付けたかったのに、アナグラムでは、☆を付けると弱くなるというのはどういうことなんですか? それで仕方なく、ボクはお星さまを付けるのを止めました。でも、どうしてですか? なんで、☆を付けると弱くなるんですか?』


 『ばらしい話』はおそらく『すばらしい話』よね。『bク』はきっと『ボク』ね。こいつは前も同じ間違いをしていたわ。『勘当』はたぶん『感動』ね。相変わらず、コイツの文章は、お粗末で間違いだらけねえ。


 しっかも、コイツの言うことは、いつもながら支離滅裂だわ。アタシは『星を見つけた。強くなるわ』のアナグラムで『☆を三つ付けたくなるわよ』って言ってんだよ。『お星さまを付けるのを止めました』って、お前、何を言ってるのよ。・・・


 それに『☆を付けると弱くなる』だって・・・なんで、☆を付けると弱くなるのよ。ホント、バッカじゃないの? コイツは『星を見つけた。強くなるわ』っていう私の書いた日本語が読めんのかい。アタシは、星で『強くなるわ』と言ってんのよ。星で『弱くなる』なんて、相変わらず、訳の分からないことを言ってんじゃないわよ。


 もう、こんなバカは相手にしてられないわ。無視よ、無視! しかし、そのとき、私は、永嶋良一のコメントの中のある言葉に気づいたのよ。


 よく読むと・・・永嶋良一はこう書いている。


 『・・・でも、ボク、お星さまを三つ付けたかったのに、では、☆を付けると弱くなるというのはどういうことなんですか? ・・・』


 えっ、アナグラムだって? コイツ、アナグラムを知ってんの? アナグラムなのよ、穴倉あなぐらじゃないのよ。


 それで、私は永嶋良一の作品を調べてみたのよ。そして、驚いたわ。こんなアホバカ作家でも、少ないながらも、ポツリポツリと応援コメントをもらっているのよ。それもね、コイツに応援コメントを出している人たちを見たら・・・私でも名前をよく拝見する、カクヨムの超有名作家の人たちばっかりなのよ。


 えっ、どんな超有名作家が、アホバカ永嶋良一に応援コメントを出してるのかって? いいでしょう。全員を紹介するわけにはいかないから、ここに一部の人だけを紹介するわね。


 例えば、女性陣では・・・


 いつもネズミ柄のフンドシ一丁で小説を書いていて、オッパイには『茄子なす』のイレズミが描かれており、そして、読者から☆をもぎ取るのが得意なので通称『星取ほしとりオネエ』と呼ばれている『星取ほしとり 茄子なすお姉さま』・・・


 小説を書いたり、料理をするときはいつも何故か巫女の艶姿で、ノコギリと玉ねぎを持っていて、広島弁の使い手でもある、通称『ノコギリで玉ねぎをみじん切りする、広島弁艶姿オネエ』の『巫女のノッコお姉さま』・・


 世にも恐ろしいパンナコッタ教の首領で、恐怖のパンナコッタ魔神を操り、いつも帽子をかぶっていて、通称では『友人の帽子を黙って勝手にかぶる師匠』と呼ばれている『パンナァコッタ、なんてぇこった、お姉さま』・・


 『〒531-0071 大阪府大阪市北区中津3丁目1』にある阪急電鉄中津駅の近くに在住していて、いつもにんがんという便秘の漢方薬を飲んでいる、通称『大阪中津の便秘オネエ』こと『中津 にんがんお姉さま』・・


 などなど・・・とにかく、ものすごい豪華メンバーなの。


 一方、男性陣では・・・


 ラーメン、スープ、みそ汁といった『汁物しるもの』に必ず『アンコ』を入れて食べるという食生活を送っていて、カクヨムと並ぶ有名小説投稿サイトの『アホなポリス』でも大活躍している、通称『しるアンコ大好きオニイ』の『シルアンお兄さま』・・・


 しっかし、『アホなポリス』って、すごいサイト名ねえ。警察からクレームが来ないのかしら。・・・


 南の島で釣り船をやっていて、いつも女性の大きな愛情に包まれており、ハイボールのチー坊割りが大好きな、通称『オンナ口説きのチー坊』こと『大きな愛お兄さま』・・・


 などなど・・・男性陣も実に多士たし済済せいせいなのよ。


 永嶋良一にコメントを寄せている全ての超有名作家さんをここに書いてたら、日が暮れるので、これで止めるけど・・・(紙面の都合でお名前をここに書けなかった方、本当にごめんなさいね)・・・こう言った具合で、とにかく、永嶋良一に応援コメントを出しているのはカクヨムの超有名作家さんばっかりなのよ。


 なんで、こんな超有名作家たちが、永嶋良一なんてアホバカ作家に応援コメントを寄せているのよぉ。・・・


 そうだわ。きっと、超有名作家の皆さんは心が広いので、誰からも相手にされない永嶋良一をあわれに思って、お情けで応援コメントを寄せてやっているのね。それなら、私も納得よ。


 そしてね、永嶋良一は、なんとアナグラムを使ってその返事を書いているのよ。


 ガーン! 私、大ショック! カクヨムの超最底辺作家の永嶋良一でも、アナグラムを知っているなんて・・・


 でもね、その返事を読んでみると・・・使っているのはなんとも低レベルのアナグラムなのよ。『大阪中津の便秘オネエ』の『中津 にんがんお姉さま』への返事で、『私も夜中にトイレに行くのが恐かった』という文から『私、学校も田舎。よくトイレのカニ煮たわ』なんてアナグラムみたいなものを作っているの。


 『トイレのカニ煮たわ』って、バッカじゃないの? 私、アホらしくって、笑い出しちゃったのよ。またまた、乙女にあるまじきお下品な言葉と笑いが、私の口から飛び出したのよ。


 「アハハハハ。お前はホントにバカだねえ。アナグラムって言うのはね、私が『星を見つけた。強くなるわ』から『☆を三つ付けたくなるわよ』を作ったように、もっと高尚なものを言うんだよ。・・・『トイレのカニ煮たわ』なんて、低レベルで、お下品なのは、アナグラムって言わねえんだよ。アハハハハ。・・・こんなのだから、誰もお前の作品を相手にしねえんだよぉ。笑っちゃうぜ! アハハハハ。アハハハハ。アハハハハ・・・」


 するとね、次の日、永嶋良一から応援コメントの追伸が入ったのよ。カクヨムでは、応援コメントに『編集』って機能があってね、一度アップしたコメントを修正したり、追伸を付け加えたりできるのよ。


 私は、無駄だと思ったけど、一応、永嶋良一の追伸を読んでみたの。それは、こんな文だった。


 『追伸

 ボク、昨日、コメントに書くのを忘れました。ボク、実はアナグラムが大好きなんです。それで、作品中の「星を見つけた。強くなるわ」をアナグラムで、ボクが変換してみました。


 星を見つけた。強くなるわ・・

 ほしを みつけた つよくなるわ・・

 ほしをみつけたつよくなるわ・・


 入れ替えて・・


 ほしをみつつけたよわくなる・・

 ほしを みつ つけた よわくなる・・

 ☆を 三つ 付けた 弱くなる・・

 ☆を三つ付けた。弱くなる。。


 どうして、☆を付けたら弱くなるんですかぁ? ボク、お星さまを三つ付けたかったのに、弱くなるのはイヤだから、お星さまを付けることができなかったんです。ボク、もう、イヤ~』


 えっ、アナグラムで『星を見つけた。強くなるわ』が『☆を三つ付けた。弱くなる』に変わるんですって・・・そんなバカな!・・・でも・・・ということは、私が考えた、『星を見つけた。強くなるわ』が『☆を三つ付けたくなるわよ』に変わるアナグラム以外にも、『星を見つけた。強くなるわ』には別のアナグラムがあったのね。・・・


 そ、そうか! 別のアナグラムが『☆を三つ付けたら、弱くなる』なので、それで、誰も私の大傑作に☆を付けてくれなかったのね!


 ぎゃび~ん!・・・


 こうして、またもや、永嶋良一のお陰で、私のアナグラムーサブリミナル大作戦は、むなしく砕け散ってしまったのよお・・・


 私はパソコンのカクヨムのホームページをにらみつけたの。そうして、またもや、お下品言葉が出てしまったわ。


 「くっそぉ、永嶋良一め。そして、こんなアホバカ作家の低劣アナグラムを野放しにしているカクヨムの編集部め。さらに、アホバカ永嶋良一にお情けとはいえ、応援コメントを出している、カクヨムの超有名作家たちめ。覚えてやがれぇぇ・・・オメエらが、そういう気だったら、私はとことんアナグラムで、オメエらに勝負してやるわい。私とオメエらと、どっちのアナグラムが優れているか、こうなったら、はっきりさせようじゃないの! いざ、アナグラムで決闘じゃあああ・・」


              (次回に続く)

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