第3話 百合百合な日常

 朝、起きると真理先生からのメッセージが届いていた。


『モーニングコールよ』


 簡単な内容だが禁断の関係だなー。普通、一生徒にそこまでしない。


 と、言うかできないのが現代の学校事情である。


 ま、知らね。


 私は自分の太股を自撮りして返事を返す。どうせ、禁断の関係なら問題なかろう。


『ダメ、ダメ、イク!!!』


 解かりやすい返事が返ってきた。私はスマホを放置して朝ご飯にする。食後、ベッドで二度寝してから登校の準備をする。この一五分の二度寝がデリシャスな時間である。


 その後、教室に着くと櫻子が数学の勉強をしている。ああああ、今日は数学の小テストの日だ。ここは櫻子に教えてもらおう。


「櫻子、チョットいい?」

「はい、お姉様」


……。


「お姉様、バカなの?死ぬの?死ぬの?」


 数学ができないからと言ってそこまで言うのか。確かに自慢できる学習能力はないが。


「お姉様、昼休みもビッチリ勉強です」


 ひいいい、私の顔は恐怖に支配されるのであった。


***


「お姉様、新体操は好きですか?」


 まあ、好きかと聞かれたら、嫌いではない。


「私の趣味は新体操なのですが見てくれますか?」

「あぁ、いいぞ」

「では、放課後、体育館の一階の奥に来て下さい」

「一緒に行かないのか?」

「体をアップしておきたいので、後から来て下さい」


 そんなものかと大して気にも留めないでいた。少し、時間が空くのか?


 保健室にでも行くか。セクシー天使こと真理先生が暇をしているはずだ。


「居るか?」


 私は保健室に入ると。奥の方に真理先生の気配がする。


「今、着替え中」


 はい?


 そーっと、近づいてみると、黒のランジェリー姿の真理先生がいた。


「へ、変態だ!!!」

「何故、変態なのよ?」


 そうか、セクシーな大人の女性のランジェリー姿だ、痴女の方が正しい。私がジト目で見ていると。


「そうよね、白衣天使であるべきね」


 分かっているならランジェリー姿でウロウロするな。真理先生は白衣を着ると珈琲を入れる。


「砂糖は二つだったよね?」

「はい」


 熱々の珈琲が入ったマグカップを渡されるとフーフーして飲む。


 ふ~う、この珈琲タイムは落ち着く。


しかし、この放課後の珈琲タイムは格別だな。何か忘れている気がするがよかろう。


『ティンコン』


 うん?メッセージが届いた。見るか悩むな、このまったりとした時間を大切にしたいし……。


 大体、誰だ?


 私にメッセージを送る相手など真理先生くらいなのに。


「真理先生、このメッセージは誰からですかね?」

「飛び級、小学生が居ないけど違うの」


 おおお!!!


 体育館の奥で新体操を見るのであった。案の定、櫻子からであった。


 私は『じゃ』と言って保健室を出る。


 そして、体育館に着くと櫻子がTシャツとスパッツ姿で立っていた。


「お姉様、忘れるなんて、酷いです」

「すまん、すまん」


しかし、Tシャツとスパッツ姿とはがっかりである。レオタードでビシッとして欲しいな。


「では始めますね」


……。


 何やら残念な気分になった。


「櫻子は数学が本業だよな?」

「はい」


 よかった、新体操で飛び級した訳ではないのか。


「お姉様、少し悲しそうです、レオタードに着かえて、もう一度新体操を見てくれますか?」


 百合ロリのレオタード姿か……。


 私は小首を傾げて長考するのであった。


 翌日の放課後、やはり、櫻子に体育館の一階、奥に呼び出される。


 おおおお、今日は勝負レオタード姿だ。


「お姉様、リベンジです。昨日の不甲斐ない姿の挽回です」


 これは期待できるぞ。私がスマホを取り出して撮影しようとすると。


「お姉様、ここは撮影禁止です」


 確かに、新体操の部員が数名いるな。


 まさに、女子の花園であった。ここで舞うなら妖精として認められるのか。


「では、行きます」


 おおおお。花園で舞う櫻子の姿は妖精そのものであった。


 やはり、勝負レオタードは違うな。私はこっそりと一枚スマホに残す。


 うんうん、満足した。演技が終わると櫻子が近寄ってくる。


「どうです?私の実力は」

「これなら、自慢できるぞ」

「えへへへへ」


 照れて笑う櫻子はまだ子供だなと思うのであった。



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