薄紫色の花③
別に生徒会の仕事として、厳しいことを言われたり、無理な用事を言われたり、そういうことはないと思う。
けれど先輩の言うことをちゃんと聞いて、働いて……というのは必要だ。そこは手を抜かない、ということだ。
「わ、わかってるよ」
「そうしとけ」
答えた梓に渉は、にこっと笑ってくれた。
「大変は大変だけど。まぁそのぶんやりがいも楽しいこともあるし。それに成績にも有利だし、やる価値はあると思う。だから頑張ってみろよ」
渉の言葉と笑顔で、梓の胸に自信がちょっと生まれた気がした。それからやる気も。
「う、うん! 頑張ってみる」
梓の答えに、渉は嬉しそうに「ああ」と言った。
梓は決意する。
決まってしまったのだ。
それならしっかり仕事をするだけだし、渉に迷惑がかからないようにもしたい。
『小鳥遊先輩の妹だから……』なんて言われないようにしないといけないのだ。
渉が「仕事だから妹扱いはしない」と言ったのと同じである。
大変だろうけど頑張ってみよう。
渉も梓が前向きな気持ちになったのがわかったようで、笑みを浮かべたけれど、ふと、なにかに気付いたような顔をした。
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