生徒会役員!?②

「き、聞いてなかったんだよ」


「そう。でも小鳥遊先輩の人気はよく知ってるでしょ。それならわかるよね?」


 楓にそう言われて梓はこくこくと頷いた。


「そ、そうだね。わかったかも」


 確かに理解した。

 渉が生徒会にいるのなら、生徒会役員になればお近づきになれるのだ。それがわからないほどにぶくはない。


 王子様の渉は、もちろん中等部の女子にもファンが多い。

 彼女になりたいと狙っている子だっているだろう。

 だから生徒会役員選抜のこのホームルーム、女子は真剣というわけだ。


「私、部活に入ってないから生徒会の仕事がちゃんとできます!」


「部活くらいやってたって働けるし。むしろ部活を頑張ってる子のほうが先輩も、……ううん、両立できるほうがえらいと思うな」


「そんなことないよ、私は小等部でも役員をやってたんだから、その経験のほうが……」


 わいわいがやがやと、それぞれ選ばれるべき理由を挙げて、収集がつかない。

 にらみ合いになりそうになったときだった。


 ぱんぱん、と誰かが手を叩いた。


 みんなが静かになってそちらを見る。手を叩いたのは、クラスの副委員長。


「言い合っててもなにも進まないだろ。公平にくじで決めないか」


 女子たちは顔を見合わせたけれど、ここで「嫌」というのも性格が悪いことだ。

 運も実力のうちだ。

 ちょっと不満そうな空気は漂ったものの、くじを作ることになった。

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